文:FINDERS編集部
カンファレンスや展示会といったイベント運営業務のひとつに、弁当の手配がある。たかが弁当と思う人がいるかもしれないが、「食」は仕事のパフォーマンスを大きく左右する存在だと誰もが感じたことがあるはず。イベント全体の流れ(何時に出すのか、食べるのはどんな環境かetc)、現場スタッフやゲストの好み、予算などさまざまな条件を踏まえたうえで検討する必要があり、意外と難易度の高い業務だ。
そんな弁当手配を任されたものの、発注の仕方がわからない、何を準備すれば良いのか分からないという人も少なくないだろう。
そこで本記事は、イベント現場で弁当を注文する際に必要な確認事項、弁当の探し方、発注方法など具体的なポイントについて紹介する。また、FINDERSの運営会社(の親会社)であり、イベントの企画・運営を行うシー・エヌ・エス社の社員が普段から業務で利用している弁当発注サイトの紹介や弁当選びに失敗しないコツや現場スタッフやクライアントから評判が良い弁当選びの観点、上司に評価されるポイントについて現場目線を踏まえて紹介する。
たかが弁当、されど弁当
イベント現場における「弁当」はスタッフやクライアントの空腹を満たす食事の側面だけでなく、休憩時間の楽しみとしての役割も担っている。現場スタッフの士気に影響し、休憩後の雰囲気や働きぶりにも関わるため「弁当選び」は、イベントの成功にも関わってくるといえるだろう。
弁当を選ぶ上で大切にする観点
弁当選びの際に注目する大きなポイントは3つ。
当日の稼働量
スタッフの体力はイベントの命。当日のスタッフの稼働量が多ければ、ごはんやおかずの量が多い弁当が望ましい。反対に比較的余裕がありそうなら、普段は頼めない変わり種に挑戦してみてもよいだろう。
参加スタッフの属性
男女の比率や年齢構成はざっくりとでも把握しておきたい。例えば女性が多い現場で大盛り焼肉弁当ばかり用意してもスタッフの士気は上がらない。多くの人の好みを把握していそうな責任者やベテランスタッフなどにできる範囲でヒアリングしておくのも手だ。
またクライアントやイベントに呼ぶゲストの存在も忘れてはならない。好き嫌いやアレルギーなどは事前に確認しておくべきだ。
休憩時間、食事スペースの環境
当日のタイムスケジュールや休憩スペースの机の広さや椅子の数に合わせて、用意する弁当も調整したい。まとまった休憩時間をとるのが難しそうであったり、座る場所を確保しにくい環境であれば、簡単につまめるサンドイッチやおにぎりが重宝されるだろう。
また、弁当は最低でも2種類用意することで現場の好みに柔軟に合わせやすい。さらに連日現場が続く場合も、飽きがこないように工夫したほうが、スタッフの士気は下がりにくい。
こうした配慮はとても重要な要素である一方で、ただチェック項目的にクリアしていけば良い、というわけではないところが弁当選びの難しいとこと。何より重視すべきは、スタッフやクライアントなど現場で関わる人とコミュニケーションを取ることだ。関係者全員に関わる大切な準備だからこそ、弁当をきっかけに会話が生まれ、イベント全体のことや、現場の状況を知れたり、新たな人脈に繋がるかもしれない。
Shutterstockより
弁当選びで気をつけたいポイント
いくらスタッフやゲストの目線に立って弁当を注文しても、ひとりひとりの好みが異なるため全員にとってベストな弁当を発注することはなかなか難しい。ただ、味の好み以外でも「弁当提供業務で気をつけるべきポイント」は存在し、そのほとんどは事前に知っていれば避けられるものばかりだ。
実際に失敗事例が存在する「気をつけたいポイント」は4つ。
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【注文する際に確認したいポイント】
・一人あたりの予算
・弁当ゴミの回収は、業者がしてくれるのか?
・支払い方法について(現金、請求書、カード)
・配達可能エリアや配達時間、配達料金
まず抑えておきたいのが一人あたりの予算だ。だいたいの相場はスタッフ一人あたり1000円以内。特別なゲストには2000円程度かける場合もある。そしてここで気をつけたいのが、弁当に飲み物が付属するかどうかだ。大半はプラス100円前後でお茶をつけることができるので、注文時に確認し、弁当と飲み物を合わせてきっちり予算内に収めるようにしよう。
弁当ゴミ(業界用語では「殻(ガラ)」と言う)について、発注先の業者が会場まで回収に来てくれるのか、回収費用は発生するのか確認したい。会場で捨てられないケースも多く、またゴミ発生量が多いこともあり、どのように処理するかはあらかじめ決めておく必要がある。
次に弁当代金の支払い方法も確認しておこう。現金、請求書、カードでの支払いに対応している業者がほとんどだが、請求書払いだと現場で金銭のやり取りがなくミスを防止できるためおすすめだ。業者によっては、請求書を後日指定の住所に送付できるため会社に直接送ることもできる。
当日の現場は配達可能エリアなのか、配達料の有無も必ず確認したほうがいい。配達する際の最低注文個数・料金など条件を設けている業者も少なくない。弁当自体は予算内で注文できるのに、配達関連でイレギュラーな料金が発生してしまい、予算をオーバーしてしまうこともあるようだ。
注文する際に、最低限このポイントを押さえれば失敗しない注文ができるだろう。
弁当の探し方
では、どのように弁当を探し、どこで注文するのか。個別の業者に直接注文する方法と、弁当情報サイトから注文する2つの方法がある。
業者に直接注文する場合は、業者のホームページや問い合わせ先に直接連絡して弁当を発注する。ホテル予約の場合などと似ており、直接注文の場合のみ対応しているサービスやメニュー、料金設定があるため、業者を知っている場合は直接注文したほうが良いだろう。
弁当情報サイトは「くるめし」「ごちクル」「お弁当デリ」などが有名所だ。「該当エリアでどんな弁当が注文できるのか分からない」「複数の業者を比較したい」といった場合に便利で、検索機能を使ってエリアや予算、配達日時など細かい条件で弁当を絞り込むことができる。情報がまとまっているため、弁当発注に慣れていなくても安心して注文できる。
サイトごとに取り扱っている店舗が違うのはもちろんのこと、情報サイト専用のメニューを出している業者もある。
それでも弁当選びに困ったら
弁当情報サイトに行けば、条件に合う弁当をいくつかピックアップできるものの、検索ヒット数が多すぎて何を注文すれば良いのか迷ってしまう人も少なくないだろう。
そんなときに、FINDERSの連載「スタッフ目線で選ぶイベント現場弁当」で紹介されている弁当をぜひ参考にしていただきたい。
イベントの運営業務は、弁当発注だけでなく他にもやるべきことは山程ある。そのため、たかが弁当と弁当選びを疎かにしてしまうこともあるだろう。ただ、弁当ひとつで、現場の士気に直結し、イベント全体に影響を与える重要な役割になるため、相手のことを考えて発注できるかどうかが、現場や上司からの評価も変わってくる。現場の空気をつくれるような弁当選びをマスターしていただきたい。