デザイナーや映像クリエイターたちの強い味方であるアドビ製品。使い慣れていると思いきや、「こんな機能知らなかった」「この機能こんな使い方できたんだ」といった発見も多い。特に近年のAIを用いた機能の進化は目まぐるしく、追いきれてない人も多いハズだ。
Adobe Creative Cloudのツールに搭載されたAI、「Adobe Sensei」を使った便利な機能を紹介する連載「教えて!Adobe Sensei」も今回で第6回。おなじみ案内人は、Adobe Creative Cloudエバンジェリストとして活躍する仲尾毅さん。
今回のテーマはAdobe Premiere Proの「文字起こしベースの編集」機能について。これまでにない動画編集の方法を提案する機能だが、その手順やできることを仲尾さんにわかりやすく解説していただいた。
仲尾 毅
Creative Cloudエバンジェリスト
2012年、Creative Cloud登場と共にアドビ入社。Creative Cloudの伝道師として、Adobeの最新技術・製品・サービスの訴求と移行促進に従事。クリエイターにとってメリットのある最新情報をいちはやく伝える。
Twitter @tsuyon
構成:白石倖介
動画内の「検索」もテキストで
今回はAdobe Premiere Proの「文字起こしベースの編集」機能について。Premiere Proは2022年にAIを用いた「自動文字起こし機能」を実装しましたが、この機能がさらに進化しているのです。「文字起こしベースの編集」機能では、文字起こししたテキストを編集した結果がタイムラインの映像編集にも反映されます。つまり、テキストを編集するように動画を編集できるというわけ。早速使ってみましょう。
まずは編集したい動画ファイルをプロジェクトに読み込みます。「自動文字起こし」をオンにするのを忘れずに。
続いて、ワークスペースを「文字起こしベースの編集」に切り替えます。読み込み時にオンにした文字起こしはバックグランドで実行されます。
しばらくすると、自動文字起こしが完了します。文字起こしが終わったら、試しにテキストを触ってみましょう。選択する箇所、カーソルの位置に追随して再生される動画の位置も移動するのが確認できます。
不要な会話をテキスト上で選択し、deleteキーで削除します。すると、動画クリップ上からも該当する会話部分が削除されました。このように、テキストを編集するだけで動画を編集できるのが「文字起こしベースの編集」のスゴいところです!
文字列をカットアンドペーストすることもできます。テキストを選択し、任意の位置へペーストすると、動画も自動的にカットされて編集されます。
特定の文字列を検索することも可能です。重複する話題を調べたり、まとめて置換したりなど、便利に使える機能です。
こうして編集した動画にキャプション(字幕)を挿入するのも簡単です。キャプションパネルで「文字起こしからキャプションを作成」を選択します。
「キャプション環境設定」が表示されるので、ここで「1行の最大文字数」「最短のデュレーション(秒)」「キャプション間の間隔(フレーム)」を設定しましょう。その後、「キャプションの作成」をクリックすると、画面にテキストが表示され、キャプションの作成が完了します。
また、キャプションの編集はもちろん、話者に合わせてキャプションの色を変えたり、フォントサイズを大きくしたりとバリエーション豊かな装飾をキャプションに加えることができます。すべてのキャプションを選択し、「グラフィックとタイトル」のメニューから「キャプションをグラフィックにアップデート」を選択します。タイムラインのV3トラックにテロップが生成され、位置や透明度、アピアランスの設定を細かく施したり、他の動画トラックと同様ディゾルブなどのエフェクトを適用することも可能です。
上記例では、一つの動画素材を短くまとめてみましたが、素材が複数ある場合、各素材から必要な箇所を文字検索してインサートで抜き取っていき一つのシーケンスにまとめる、といった使い方も可能です。インタビューやセミナー、ドキュメンタリー作成といった用途で試してみてください。
テキストの編集をするように動画を編集できる「文字起こしベースの編集」はいかがでしたか?これまで動画編集をしたことがない人にも使っていただけるはずです。是非試してみてくださいね!