CULTURE | 2023/06/25

「幼稚園のサイン計画」が今年最も優れたグラフィックデザインに 三澤遥氏の個展『Just by』が開催

文:FINDERS編集部
数々の受賞歴のある三澤氏の新たな切り口を評価
アートディレクター・デザイナーの三澤遥氏が第...

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文:FINDERS編集部

数々の受賞歴のある三澤氏の新たな切り口を評価

アートディレクター・デザイナーの三澤遥氏が第25回亀倉雄策賞を受賞したことを記念した個展『Just by』が7月4日から7月27日まで新橋・クリエイションギャラリーG8で開催されている。

亀倉雄策賞は公益社団法人日本グラフィックデザイン協会が発刊する年鑑『Graphic Design in Japan』に掲載される作品から毎年、最も優れた作品とその制作者に対して贈られる。

第25回となる今回は、亀倉雄策賞初の2作品同時受賞。岡崎智弘氏が手がけたNHK Eテレの番組の映像、「デザインあneo あのテーマ」と、日本デザインセンター・三澤遥氏による幼稚園内のサイン計画「⽟造幼稚園」が選出された。

6月28日まで岡崎氏、7月7日から三澤氏による個展が開催される。

今回受賞したものは、円筒形を駆使した立体造形と独特の配色による、玉造幼稚園のサインデザインだ。「この数年、高いレベルで受賞を競ってきた三澤の仕事に共通するデリケートさを持った作品」「今回はさらに新たなデザインの切り口を発見し定着させた仕事で、表現の幅の広さを見せた」と評価。また本作は亀倉雄策賞だけでなく、JAGDA賞2023も受賞となっている。

幼稚園のサイン計画「玉造幼稚園」

三澤氏は本作について、「玉造幼稚園のサインは、金属の輪っかの組み合わせから成る。これらはすべて、輪っかの大きさ、重なりやずれの違いから生まれた簡潔な形状をしている。一見、オブジェや彫刻のようなサインらしからぬ佇まいは、子どもたちに観察し想像することを問う。これはなんだろう、と。サインに書かれた文字がまだ幼くて読めなくても、彼らは柔軟な発想で周辺や世界を捕まえようとする。子どもたちのことをそっと近くで見守るような、柔らかなコミュニケーションをサインに。最初から具体的なイメージを決めず、原寸の紙模型で検証を重ね、要素を削ぎ落としながら造形やストーリーを編集して構築していくプロセスは、これまで三澤デザイン研究室が繰り返し行なってきた実験と検証の延長にある」とコメントしている。

三澤氏は、デザインオフィスnendoを経て、日本デザインセンター原デザイン研究所に所属したのち、2014年より同社内にて三澤デザイン研究室として活動。同研究所のウェブサイトでは自身の活動について「ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている」と記している。水生生物の環境をゼロから探り直したというアクアリウム「waterscape」、金属の性質を帯びた紙が磁力によって動き出す「動紙」、国立科学博物館の巡回展キット「WHO ARE WE」などを手掛けてきた。


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「三澤遥 個展『Just by』」
期間:2023年7月4日(火)~7月27日(木)
会場:クリエイションギャラリーG8
料金:入場無料