文:FINDERS編集部
世界トップクラスのスパコン
理化学研究所と富士通が共同開発し、2021年3月に共有(本格稼働)したスーパーコンピュータ「富岳」が計算技術に関するランキング「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」と「Graph500」で6期連続世界1位を獲得した。
これらのランキングはそれぞれのベンチマークの性能を競い合うもので、毎年6月と11月に発表される。今回は、米国テキサス州で現在開催中のHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に関する国際会議「SC22」で公表された。
HPCG部門は、現代のスパコンで稼働するアプリケーションによく使われる計算手法(共役勾配法)を用いたベンチマークプログラムの計算能力を競うランキング。第2位の「Frontier(米国)」に1.1倍の性能差をつけた。もう一方のGraph500部門は、複雑なグラフ解析における性能を競うランキングで、2つの部門のうちBFS(Breadth-First Search:幅優先探索)部門で世界1位を獲得した。それぞれ「富岳」のフルスペック(432筐体、15万8976ノード)による計測だ。
その他、LINPACKという連立一次方程式を解くプログラムの計算能力を競う「TOP500」では第2位、AIによるディープラーニングなどで主に用いられる計算能力のベンチマーク「HPL-AI」で第3位を獲得し、世界でもトップクラスの性能を実証した。
今回の受賞で理化学研究所 計算科学研究センター センター長の松岡聡氏は、「今後、『富岳』はますます多くの価値のある科学技術の成果を出し続けるとともに、本センターとしては、その経験を活かして、量子計算などのあらたな計算パラダイムとの融合や、新たなスパコンの構成法の探求などの、次世代の高性能計算に向けた研究開発を目指していく所存です」とコメントしている。(東京理化学研究所公式サイトより)