文:滝水瞳
目は口程に物を言うという言葉があるが、動物の仕草やその目元から感情を感じ取れると思うことはないだろうか。
不幸な過去を持つ犬の人を愛する純粋無垢な仕草が人気を呼び、SNS上で話題になっている。
7キロもの鎖でつながれたトロ
昨年10月、アメリカ・ニューヨークで、空き家のフェンスに7キロもの重さの鎖でつながれた1匹の犬が発見された。この犬は5歳の雄で、トロと名付けられ、地元の動物保護施設「タウン・オブ・ヘンプステッド・アニマル・シェルター」に保護された。トロは長い間野外に放置されていたとみられ、しつけなどもされておらず、新しい環境になじむまでにはかなりの時間がかかると思われた。施設に連れてこられた際、トロはずいぶんと緊張した面持ちで、職員がさまざまな方法でトロを慣れさせようと試みたという。
しかししばらくすると、トロは警戒心を解き放って人間に近寄るようになった。『the dodo』によれば、同施設の責任者であるメリッサ・フォガーティーさんがトロの緊張をほぐしてあげようとドッグランで遊ばせたところ、15分も経たないうちにフォガティーさんの上に這い上がり、胸を押し付け抱きしめたという。人間にハグする様子は、まるで同施設に対する感謝の意を示しているかのようだ。
今では犬小屋から出てくるたびに、トロはどんな人に対しても全身をつかってハグをしに向かう。そして受け入れられて頭を撫でられると目を細めて喜ぶのだという。
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