文:仲田拓也
企業やスポーツチームが、マスコットとして動物を起用することは珍しくない。しかもそれらの動物は、血統証つきがほとんどだろう。
そんな中、野良犬が一風変わった経緯で、社員として採用されたと大きな話題となっている。
野良犬を「バウフェッショナル」として採用
今年初旬、ブラジルの自動車販売会社「ヒュンダイ・プライム」の店舗の前に一匹の野良犬が現れた。この犬は行き場がないようでずっと店舗の前から離れようとしなかった。気の毒に思ったショールームのマネージャーであるエマーソン・マリアーノさんは、この犬を店の中に招き入れ、エサと水を与えた。
次第に愛情を感じるようになったマリアーノさんは、取締役会にマスコットとして正式に採用するように掛け合った。すると、この提案はすぐに受け入れられた。
犬は「ヒュンダイ・プライム」という社名と、ヒュンダイ製自動車の人気モデルである「ヒュンダイ・ツーソン」にちなんで「ツーソン・プライム」と名付けられた。当初は店内にいるだけの予定だったが、顧客への挨拶やコミュニケーションが評価され昇格。「パウフェッショナル(「パウ」は「肉球」の意味)」として、社員証も与えられた。
マリアーノさんは『トップモーターズ・ブラジル』の取材に対して「ペットに対しずっと好意的だった当社は、さまざまな事情によって多くの動物が捨てられているこの時期に、この考えを実践できると考えました」と答えている。