文:小村海
アメリカで400年にわたって続いている黒人差別。現在でも黒人が警察に暴力を振るわれたり、殺害されたりする事件が後を絶たない。
そうした中、黒人差別への反対を訴えるBlack Lives Matter運動が世界的な広がりを見せている。集団単位でデモ活動を行うのが一般的だが、インフルエンサーなど単独で主張を訴える者も少なくない。
「馬鹿者」「お前はテロリストだ」と罵詈雑言
アメリカ・ミシガン州に住むロブ・ブリスさんは、チャンネル登録者数が3万9000人のYouTuber。ブリスさんは、人種差別の問題がどれだけ残っているかを明らかにするため、白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)の本拠であり、「アメリカで最も人種差別主義の街」と称されるアーカンソー州ハンソンでBlack Lives Matter運動を行った。
ハリソンを訪れたブリスさんは、路上で「BLACK LIVES MATTER」と書かれた看板を掲げると、車に乗った人や街を行き交う人から、「馬鹿者」「お前はテロリストだ」「なぜ黒人の人生が重要か説明してくれないか」「黒人が通った後は通らない」と、次々と罵声を浴びせられる。さらに、Black Lives Matter運動を「これまでで最も大きなデタラメだ」「次のISIS(イスラム国)である」と中傷する人も。また人種に関する公正さを掲げるウォルマートからも追い出される事態に。
ただ、少数ながらもブリスさんを支持する人もおり、女性から手渡された手紙には「嫌がらせする人を無視してください。あなたはとても平和主義者です。あなたのやっていることは素晴らしい。友好的なリマインダー(注意を喚起する人)です。希望を忘れないでください」と書かれていた。