CULTURE | 2021/07/21

デビュー10年目の広瀬すずがアンチや「ゴリ押し」の声に負けない理由【連載】テレビの窓から(9)

イラスト:IKUMA

木村隆志
コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者
「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎...

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「会った瞬間わかる」理屈抜きの凄さ

しかし、その後の広瀬すずは「ゴリ押し」と言われるほどドラマや映画に出演していない。実際、この5年で主演作は連ドラ3作、映画3作程度に留まっている。もちろん単発ドラマや助演での出演もあるが、他の主演女優クラスと比べると出演作を抑えているのだ。これは良い意味で出演作をしっかり選んでいるということだろう。

一方でCMは2014年の出演ラッシュからペースが落ちることはなく、ずっとトップクラスを走り続けている。なかには商品が変わっても、広瀬すずを3~5年にわたって起用し続ける企業も多く、契約継続率の高さもトップクラス。

これは「その姿を撮影現場で見たら、次もまた起用したくなる」という企業や広告関係者の気持ちを意味している。通常CMの撮影現場にはクリエイターだけでなく、企業の担当者なども多数立ち会っているのだが、彼らが広瀬すずを推しているのだ。

「起用したくなる」という点ではCMだけでなく、ドラマや映画の作り手も同様。たとえば、映画なら是枝裕和監督、李相日監督、大根仁監督、岩井俊二監督ら大物から称賛を受けてきたし、なかには「会った瞬間に凄さがわかる」「演じはじめると圧倒される」という声もあった。

CM、映画、ドラマ……とジャンルを問わずクリエイターたちは広瀬すずを起用したくなってしまうようなのだ。とりわけクオリティーファーストの意識が高い人ほど、「広瀬すずで撮ること」にこだわっているのかもしれない。彼らにとってアンチなど限りなく小さい存在に過ぎないのだ。

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