中国で発生する謎の爆発「チャイナボカンシリーズ」
さて、2000年代中盤の頃を振り返ってみる。私はもうネットのニュース記事の編集を開始していたが、中国在住ライターが次々とヘンテコリンな記事を送ってきた。ハンバーガーとチキンを食べることができるマクドナルドとKFCをパクった「マクタッキー(麦肯基)」というファストフードのチェーン店があることなどを報じた。
さらには「チャイナボカンシリーズ」という言葉も登場。これは、アニメ『タイムボカン』シリーズにかけた言葉で、「中国では色々なものがやたらと爆発する」ということからつけられた。これらはまとめられているので、振り返ってみよう。最近の5ちゃんねるのスレッドタイトルをまずは紹介する。
【チャイナボカン】巨大な火の玉が!中国で電池リサイクル施設が大爆発 (動画あり) 画像あり
【チャイナボカン】タンクローリー爆発 19人死亡 下敷きに? 捜索続く 中国 [6/←14] 画像あり
【チャイナボカン】香港の病院で、司祭の爆弾の爆発... 負傷者はない
そして「ニコニコ大百科」では以下のように説明されている。
〈中国の国技である。よく爆発する。ありえないものまで爆発する。「如月隼人」と言うサーチナの中国爆発専門の記者が存在している。このシリーズが人気あるのか「爆発の友の会」というものも存在している。〉
また、「まあ世界的にもままあること」「珍しいが理解できなくはない」「どうしてこうなった」「もはや何がなんだか」の4段階に分かれている。
【まあ世界的にもままあること】爆竹工場・石油工場・タクシー
【珍しいが理解できなくはない】肥溜め・タイヤ・圧力鍋・発熱材付きの弁当・コンドーム自販機・乳飲料
【どうしてこうなった】偽iPod・豆乳製造機・マンホール・電球・いとこ・水槽・下水
【もはや何がなんだか】飛び降り自殺中のおっさん・肛門・おっぱい・小川・豆板醤・スイカ
この「爆発」には「客の不満」や「ポルシェ人気」なども含まれるが、基本的には製品の雑さや品質管理等への安全性への配慮が足りないことが嘲笑の対象になっている。これらが登場した時、特に話題になったのが「いとこ」「小川」「豆板醤」「スイカ」である。
特に「いとこ」が理解不能だが、2012年1月23日の新華社電が報じた記事がそのベースになっている。湖南省漣源市郊外の村で、いとこの家に来た男が体に巻きつけた爆発物を爆発させた事件だ。これにより、この男といとこを含む5人が死亡し、6人がケガを負った。
自爆テロを仕掛けたようなものだが、中国でこうしたことが起きると「チャイナボカン」にされてしまう。
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