EVENT | 2021/05/12

中学生で社会起業した動機は、シリア難民を助けられなかった経験、社会課題の当事者への思いと違和感から【連載】Z世代の挑戦者たち(2)

連載「Z世代の挑戦者たち」では、社会にインパクトを与える活動をする21世紀生まれの若者たちの声を紹介している。
第2回...

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それでも「愛を持って社会に突っ込め」を理念に

<クックパット社と実施した課題発見DAY Plusの様子>(Sustainable Gameより提供)

―― 山口さんが高校生のうちにやっておきたいことを教えてもらえますか?

山口:実は中高生だからこそ発見できる課題があるとの思いから、当事者で無くなる自分は、直接の運営からは離れ、今のSustainable Gameの代表理事を高校3年生のときに次世代に託して、次の課題に取り組みたいと思っています。今一番作りたいのは、企業さんや中高生、Z世代と呼ばれる世代が社会を共創していく事例をもっと増やせる環境です。私たちは給料が発生しない社団法人なので、企業さんからいただいお金を貯めて、ファンドとして次世代のマイノリティの課題に取り組むプロジェクトに投資しています。

でも、もっとダイレクトにいろんな企業さんの持っているリソースを中高生のプロジェクトに投資してくれる、それが当たり前になる仕組みが作りたいです。それはESG(Environment・Social・Governance)投資の観点から見て短期的な利益は出にくいと思うんですけど、長期的に考えるとステークホルダーへの貢献につながると思うんです。

―― 大学にもし進学されたら何を学ばれたいですか?

山口:目的工学とESGファイナンス、ブランディングの3つを学びたいです。ESGファイナンスは愛とビジネス合理性を両立する、一番の近道だと思っています。金融資源を社会的企業に対して再配分したい。

あと課題に感じているのは、マイノリティの人権問題にアプローチするソーシャルセクターの多くが活動にほとんどのお金を使っているため、広報や広告を出せずに寄付が集まらず、結果的に持続可能でなくなる現実です。大きなNGO・NPOであればお金が集まりやすく、大きな広告代理店に依頼して広告を打つことができます。愛を持って活動するソーシャルセクターを「かっこいい」と思ってもらいたい。私がカンボジアで体験したような、そういった感覚を多くの方に持ってもらうブランディングに貢献したいです。

―― 英語だと割と照れずにLoveって言えるんですけど、日本語で日本人が「愛」ってなかなか語りづらい気がするんです。山口さんは堂々と「愛」って言葉を語られていて、かっこいいなと思います。

山口:愛というのは「他者を大切にする心と責任」だと自分の中で定義しています。自分の組織をマネジメントする上でも、愛をとても大事にしています。

―― 山口さんの座右の銘というか、大切にしている言葉ってありますか?

山口:大切にしている言葉は「愛を持って社会に突っ込め」です。これはSustainable Gameの理念でもあります。

―― 愛を持って突っ込み、人を変え、社会を変えっていうところに人生を思いっきり捧げられていきたいんですね。

山口:はい。今はそれが自分の使命と思って活動しています。

<クックパット社と実施した課題発見DAY Plusの様子>(Sustainable Gameより提供)

―― 同級生のみなさんは山口さんの活動に対してどういう反応なんですか?

山口:同級生の中にも社会起業をする人が増えてきています。だからあまり僕が珍しがられることはなく、一緒にやるのが当たり前だよねって雰囲気が出てきているので、自分としても活動がしやすいです。

―― 僕らの世代とマインドが全然違いますね。山口さんたちはあらかじめSDGs的な考え方がセットアップされている世代なのかな。SDGsのゴールの2030年っていうと、2021年の今から9年後だから、あっという間に来ちゃうんですよね。

山口:本当にそうだと思います。2030年は僕が26歳になる頃です。

―― その時に世の中がどうなっているのかすぐ想像しなきゃいけないし、行動を起こさなきゃいけない。そのころ山口さんは社会に出てお金を稼ぐ、生活を成り立たせる、結婚して子供が生まれる……そんないろいろなことを経験しているでしょう。仕事やプライベートを成立させつつ、より良い社会へのアプローチをしていかなきゃいけない。僕も若輩者ながら、山口さんにとっては年長者として、何かお役に立てたらと思います。

高校1年生ぐらいのときに持った夢って、僕もそうなんですけど、一生続くんですよ。だから、その強い意志を持ってぜひ頑張ってほしいです。

山口:ありがとうございます!

―― いいお話でした、ありがとうございました!


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