釈放後、「私は無事です」と絵文字付きで投稿し懲戒に
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12月23日、第2回公判。この日は被告人質問が行われました。まずは弁護人から。
弁護人「大学では何の勉強してましたか?」
T被告人「コンピューターサイエンスです」
弁護人「どんな活動をしてました?」
T被告人「プログラムやウェブサービスを公開していました」
T被告人「ふぁぼったーというサービスです。2007年当時、今でいう『いいね』が誰にされたのかわかりませんでした。それがわかるという便利な機能で、月間1000万アクセスがありました」
弁護人「卒業後は?」
T被告人「2019年までヤフーでSEとして。その後はメルカリで認証認可のプラットフォームに関わっていました」
インターネットのことに関しては、一般的な常識以上の知識と技術があるようです。
弁護人「何か持病はありますか?」
T被告人「ADHDと睡眠障害です」
弁護人「ADHDというのは?」
T被告人「発達障害のひとつで、じっとしていられない多動、年齢に見合わない不注意など…」
弁護人「不都合とかありますか?」
T被告人「仕事で使うPCを家に忘れたり、逆方向の電車に乗ったり。あとは、焼き魚でボヤ騒ぎを起こしたり。他には会社の面接日を間違えたり、海外旅行で帰りのチケットをなくしたこともありました。今回も釈放後に、会社の人が見てるチャットに『私は無事です』と絵文字付きで打ちまして…心配させないように軽くと思ってのことだったんですが、懲戒の原因になりました」
うっかり者という言葉では表せないほどのようですね。私生活にも影響があると。
弁護人「睡眠障害はいつからですか?」
T被告人「高校からだったと思いますが、通院は5年くらい前からです」
と、T被告人についてカンタンな確認をすると、やっと事件に関しての質問が始まりました。
弁護人「3月17日は何時まで仕事でした?」
T被告人「20時くらいです」
弁護人「仕事の後は何がありました?」
T被告人「前職の同期の誕生会がありました」
弁護人「仕事終わりの20時15分。“私はコロナだ”とツイートしたのはなぜですか?」
T被告人「飲み会に向かう途中、群馬県の電車内で“俺はコロナだ”と言って業務妨害で逮捕されたというニュースの見出しを見て、インパクト…可笑しみや面白みを覚えてリアクションを示そうと思いました」
弁護人「どこが面白いんですか?」
T被告人「言語学でいう、うなぎ文だったので」
弁護人「うなぎ文?」
T被告人「例えば、その~…何食べますか?と訊かれて、私はウナギを食べると答えるのを“私はウナギだ”と言うことがあります。パラドックスというか面白いというのがうなぎ文です」
弁護人「それが面白みですか?」
T被告人「彼自身がコロナだ、と」
ニュースのタイトルがうなぎ文になっているのがT被告人としてはツボだったようです。それに似せて、“私はコロナだ”とツイートしただけというのが真相。これに関しては後で裁判官から追及されることになるんですけどね。
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