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EVENT | 2021/02/25

観光事業者が生き残るための「デジタル活用」を支援。クラウドファンディング成功事例から考える「稼げるPR」のポイント

昨年の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、このタイミングで「ネットを活用した商品開発・PR」を始めた事業者は多く見られる...

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昨年の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、このタイミングで「ネットを活用した商品開発・PR」を始めた事業者は多く見られる。だがSNSを活用するにもECを始めるにしても、日進月歩で移り変わる「いま効果的なテクニック」をキャッチアップしなければならないし、予算や人員を割き継続的に取り組む必要もある。時にはプロの手を借りることも重要だろうが、その全てのハードルが高すぎて実施できない、というところも多いだろう。

そうしたハードルを乗り越えるべく、観光庁がこの数年支援事業を実施し続けていることをご存知だろうか。今回は観光庁・ナイトタイムエコノミー推進協議会・CAMPFIREの三者に話を聞き、新型コロナ禍で苦戦を強いられている、特に地方の宿泊・観光事業者向けの効果的なPR・集客、そしてクラウドファンディングの活用法をうかがった。

聞き手・文・構成:神保勇揮 写真:赤井大祐

中谷純之

観光庁 観光地域振興部 新コンテンツ開発推進室長

平成11年京都大学卒業後、平成13年総務省入省。平成16年から同省総合通信基盤局移動通信課において、システム開発係長・主査・移動体推進係長を歴任。平成19年から在カンボジア王国日本国大使館 二等書記官(経済・経済協力担当)。平成22年から総務省情報流通行政局 情報セキュリティ対策室、情報通信国際戦略局研究推進室及び通信規格課等において課長補佐を歴任。平成26年から東京瓦斯株式会社(官民人事交流)。 平成29年から総務省国際戦略局宇宙通信政策課衛星開発推進官。平成31年から現職で、非消費時間やデジタル技術の活用、体験型観光等を推進。

永谷亜矢子

株式会社an 代表取締役立教大学 経営学部 客員教授ナイトタイムエコノミー推進協議会 理事

リクルート、東京ガールズコレクション、吉本興業を経て2016年より株式会an を設立。東京ガールズコレクションや御堂筋ランウェイなど大型イベントから雑誌やデジタルなどのメディアのプロデュース、企業の代表を務めた経験を活かし、現在は、企業や自治体のマーケティングやPRのコンサルティング、様々な事業プロデュースを担う。令和2年度の観光庁の事業においてコーチング統括業務を行なっている。

山中直子

株式会社CAMPFIRE

東京生まれ。大学卒業後国外を放浪、帰国後ファッション×アートメディアでWEBやムック本編集・店舗企画など女性向けコンテンツの企画制作を行う。フリーランスを経て、2016年に株式会社CAMPFIREヘ入社。法人のクラウドファンディング活用、コミュニティ育成、セールス、アライアンスなどを担当。若年層のための支援体制「CAMPFIRE YOUTH」を立ち上げる。 また、「渋谷をつなげる30人」のメンバーとして渋谷区・NPO・企業とクロスセクターで地域の課題解決に取り組む。個人活動として、女性経営者のコミュニティを運営する。

これまで実行できなかった「新しい商品・PR・販売手法」を実践する場

ーー 今回、CAMPFIREのサイト内に観光庁が進めるプロジェクトの特設ページが立ち上がっているわけですが、この取り組みはどういった経緯で始まったのでしょうか?

中谷(観光庁):昨年度までの「最先端観光コンテンツ インキュベーター事業」に続き、今年度は、訪日観光客の方々が、夜間・早朝に楽しめるコンテンツを提供できる地方公共団体・事業者を育て増やすことを目的に、「夜間・早朝の活用による新たな時間市場の創出事業」という調査事業を実施してきました。ただ、その最中に新型コロナウイルスの感染症の拡大が日本にも波及し、様々な分野の事業者が経済的・社会的なダメージを負いました。

同時に、宿泊・観光関連の事業者は、事業の方法論を、「リアルだけ」から「リアルとデジタルとの融合」へと抜本的に変える必要にいよいよ迫られたわけです。その必要性は、感染症拡大以前から叫ばれてきたものの、「資金がない・ノウハウがない・勉強する時間がない」といった理由から、「まだうちには早い」として、先延ばしされてきてしまったきらいがありましたので、外的要因の激変を変革の機会とも捉えています。

永谷さんが理事を務めるナイトタイムエコノミー推進協議会には、それぞれの創出事業や事業全体を成功させるために、コーチングというかたちでお知恵やお力を拝借しており、様々な試行錯誤や議論の結果、「資金調達だけでなく、パブリシティや事業終了後の自走化の観点からも、クラウドファンディング実施のノウハウを多くの事業者が持つべきだ」という考えに至り、CAMPFIREさんにもコーチ陣に加わっていただきました。

中谷純之さん(観光庁 観光地域振興部 観光資源課新コンテンツ開発推進室長)※今回はZoomにて参加

ーー 事業の募集要項を読むと、「採択された事業の規模は1,500万円を目安とするものの、これは補助金や交付金の類ではなく、観光庁の調査事業の一環として行うものであり、当該調査に要する経費を国が負担するという仕組み」「数日間のイベントやモニターツアーのみの実施、単なる広報素材のみの作成などは応募対象外」といった趣旨の文言が並び、「1回やって終わりのイベントに対する補助金配布ではないぞ」ということを強調されている印象を受けました。

永谷(ナイトタイムエコノミー推進協議会):「ナイトタイムエコノミー」と言っても、現在の支援事業は夜間の事業展開に限っているわけではありません。バーでお酒を飲む、深夜まで都会で活動するというイメージが先行してしまいますが、ざっと挙げるだけでもこれだけのコンテンツが考えられるんです。

「夜間・早朝のコンテンツ提供量が少ないこと」がなぜ問題かというと、これらの時間帯のコンテンツが充実していない地域は「泊まってもらえない」、つまり観光消費額がガクっと落ちてしまっており、それは各地域の統計に如実に表れています。

中谷:加えて、夜間・早朝に限らない話として、訪日観光客の最新ニーズに沿うコンテンツ、特に富裕層向けの提供がままならない上、それを認知してもらい、訪問・体験の欲求を高める仕組みが確立できていないという課題もあります。

日本には国際会議や展示会などいわゆるMICE目的での訪日も含め数多くの富裕層が訪れていますが、日本の観光コンテンツの多くは団体ツアー客向けで占められており「少人数・高品質・高価格のプレミアムコンテンツ」が非常に少ない状況です。クオリティさえ高ければ数万円、数十万円をポンと出せる人が多数訪れているにも関わらず、受け皿がないために高級ホテル内でのみ過ごすような勿体ない状況が長年続いています。

永谷:そして日本も海外もどんどんとツアー旅行から個人旅行へと比重が移り、かつ「どこに旅行に行くか」を調べる際も、最初に使うツールがGoogle検索ではなくInstagram・TwitterなどSNSに移行してきています。ハッシュタグ付きで投稿された風光明媚な景色や、“映える”料理写真を見て「自分も行ってみたい!」というモチベーションが生まれ、ようやく具体的な行き方を検索し始めるという風に行動が変化しているにも関わらず、SNSアカウントを取得し定期的に情報発信をしている自治体・事業者は未だに少ないです。

中谷:とはいえ「何からどう手を付けていいかわからない」という方も多くいらっしゃるのも事実でしょうから、そこをコーチの皆さんと一緒に考え、やがては自ら情報発信できるようになる事業者や人材を増やしていきたいわけです。そのため、イベントの開催・成功に導くという一過性のものではなく、「米百俵」の精神で、翌年度以降は国の事業がなくても、事業者自らが継続・拡大できるようにするためのノウハウを移転したい、という思いを持って取り組んでいます。

ーー コーチ陣にはどんな方がいらっしゃるのでしょうか?

永谷:その地域や事業の課題はまちまちです。観光資源はあるけどプロモーション不足、集客できるイベントのそもそも企画や演出ができない。マネタイズ方法がわからないなど、事業の継続性、アップデートをはかり課題に適応できるコーチの方々を派遣しました。

山中さんもCAMPFIREとしてクラウドファンディングのコーチとして協力いただいています。 言い方は悪いですが、いわゆる「名ばかりアドバイザー」ではなく、全員がしっかり事業に伴走していただきました。

例えば新潟県南魚沼市の「ごはんと雲海ツアー」は、これまでボランティアの「南魚沼雲海ハント」というグループで無料で観光客を案内していたのですが、最近は全国各所で雲海スポットめぐりのブームも生まれてきていたので、さらなる差別化が必要でした。ここにコーチのディレクションが入って「雲海を眺めながら魚沼産コシヒカリを堪能する」という企画、そして「GO HUNT UNKAI」というキャッチコピーが生まれ、差別化と同時に有料イベントへの転換に成功しました。

また別の事例としては、長野県・野沢温泉村にある自給自足キャンプ「LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN(LFC)」があります。

野沢温泉村は冬のスキーで有名なのですが、オフシーズンはもちろん、オールシーズン楽しめる富裕層向けアグリツーリズムで3日・9万8,000円の商品を作りました。森の中にあるツリーハウスに泊まり、農作業体験やハイキング、瞑想などのプログラムを体験することで豊かな循環型社会のライフスタイルを楽しもうという取り組みです。

資金調達だけが目的じゃない。クラウドファンディングを実施する意義

写真左:山中直子さん(CAMPFIRE) 写真右:永谷亜矢子さん(ナイトタイムエコノミー推進協議会 理事)

ーー 今回の取材ではCAMPFIREの山中さんにも参加いただいておりますが、山中さんもこのコーチ陣の1人として活躍されているということですね。

中谷:はい。永谷さんから「選定された全事業者が、クラウドファンディングの活用を検討すべきだ」というご提案をいただき、クラウドファンディングのパートナーとしてCAMPFIREさんに参画していただきました。

実際に山中さんには、各事業者さんが活用する場合のアイデアを一緒に考えるところから始まり、それぞれの事業に即した形で、個別に「クラウドファンディングを実施する意義」や過去の事例、成功のためのノウハウなども基礎からレクチャーしていただきました。

ーー それは「多様な資金調達手法を実践できた方が良い」ということでしょうか?

山中(CAMPFIRE):クラウドファンディングは新しい資金調達の手段として始まりましたが、それ以外のメリットも数多くあります。

クラウドファンディングの募集ページには、「自分たちがやろうとしているミッション、ビジョンのために資金が必要であり、それがあれば将来こうした世界が実現されます」ということを書いて広めていくのですが、その過程で「今まで知らなかったけど興味がある」「ずっと何らかのかたちで応援したかった」という潜在的なファンを掘り起こすためのPRにもなりますし、「価格やリターンはどのぐらいがベターか」というテストマーケティングのためのツールとしても活用いただけます。

ーー CAMPFIREではそうしたこともアドバイスをしてくれるということですね。

山中:はい。弊社では1プロジェクトにつき必ず1人担当者がつき伴走いたします。担当者がプロジェクト起案者のサポートに入り、魅力的なページの構成や見せ方、画像のセレクト、タイトルのつけ方、過去類似事例からみた提案からSNSでの発信まで、状況に応じて臨機応変にアドバイスさせていただいております。

ーー 有名な方やSNSフォロワーが多い人が成功するようなイメージがありますが、地元に根ざした地域の事業者など、そういったオンライン上でのフォロワーを持っていない場合の方も実施できるためのコツのようなものはあるのでしょうか?

山中:そこがクラウドファンディングの誤解されやすい点なのですが、まず最初に「各々の成功の定義」が重要だと思っています。

高額の資金調達をすることだけが成功なのではなく、起案者さんのプロジェクトによって必要な金額も大小ありますし、先ほどお話したように、ファンづくり、PR・マーケティング視点での活用、初期顧客の獲得など、それぞれの目指す目的によってゴールは変わってきます。

「なぜその事業をやろうと思うのか」という理由が皆さん必ずあると思うので、まずはそれを友人知人や仕事仲間の人などに自ら伝え、身近な人や、近しい顧客の方を応援団にしていき、小さなコミュニティを作っていくことが良いと思います。事前の潜在顧客やファンへヒアリングは、実際に支援いただく方の心が動く魅力的なリターンを設計するためにも役立ちますし、、また応援団の中から、同じ目的を実現しようと企てる「共犯者」となってくれる方もきっと出てくると思います。

数字上のフォロワー数にこだわりすぎず、想いや実現する未来に共感・賛同してくれる味方を1人でも増やす方が価値があるかと思います。そこから、「こういうことをやろうとしている人がいるんだよ」と口コミをしてもらったり、興味関心軸でつながるさらに多くの人へ広がっていくこともできます。

ーー 応援者や協力者を、主体的な仲間である共犯者として巻き込んでいくということですね。プロジェクトを開始する前に準備しておくべきことはありますか?

山中:はい、クラウドファンディングはプロジェクトの公開日前から勝負が始まっています。「自分たちはこういう想いで事業をしています」「皆さんが応援してくれたらこういうことが実現できます」「そのために過去にこういうアクションを実行してきました」といった情報を、開始前からブログやSNSなど、オンライン上で検索されるような場所に情報を置いたり、関係者にきちんと伝えていくことで実施背景や活動実態をより深く理解してもらえますし、そうした一貫した行動を継続していると、さらに安心・信頼して支援いただけるようにもなるかと思います。

ーー 今回、CAMPFIREさんがプロジェクトに入ることで、どんなメリットがあったと考えますか?

中谷:観光に限らず昨今のビジネスは変化のスピードが激しく、新たに対応しなければならないことが次々に出てきている一方、組織や個々人がそれらに満遍なく通じておくのは、現実的ではないと思いますので、ノウハウとノウフーの組合せが重要です。その意味で、クラウドファンディングという新たな仕組みを利用するために、何をどのように取り組めれば良いのかについて、具体的なアドバイスをしていただけた点が、非常に有益であったと感じています。

永谷:ウェブサイトにしろSNSにしろ、デザインや文言ひとつで成果が大きく変わるにも関わらず、上手く使える人は未だに少ないどころか、広報費用のほとんどをチラシ・ポスター・パンフレットのみに振り向けているところも多いのが現状です。「ウチはネット広報もやっていますよ!」というところも情報は旅行代理店の公式サイトに載っているだけだったり。

観光協会などでは大抵1人何役もこなしていて、JAも観光も兼務している、といった方が多いです。仮にやりたいと思っていても「具体的にどうすればいいかわからない」という方もすごく多いので、背中を押してあげる意味合いも強いです。

中谷:海外の人を呼び込むのであれば、なおのこと、デジタル活用が肝要です。また、Covid-19によるパラダイムシフトにより、デジタル技術の活用が、「やった方が良いこと」から、「生き残るために必要なこと」に変化しつつあります。クラウドファンディングは、デジタル技術の活用手法として有効なだけではありません。JAというお話が出ましたので、またお米の話に喩えるのであれば、「不作」になった場合に、天に祈って雨乞いをするのではなく、顔を知っている関係者に加えファンの方の元気を少しずつ分けていただくことにより、みんなで土地を耕して灌漑を行うことで「豊作」を実現し、更に交流人口が増えていくという好循環を生み出す契機にしていきたいと考えております。

山中:実際にクラウドファンディングをやってみると、何を実現するためにいくら必要なのか、他人が応援する意義はどこにあるのか、自分たちの魅力は何か、どういう文章や写真を出すと効果的なのかといった、今後もずっと役に立つマーケティング感覚・ノウハウが体感的に学べて身につくと思います。

永谷:マネタイズだけじゃなくてPR力を培う要素も大きいんですよね。SNSでも何でもどんなデザイン、テキストで、返礼品は何でという「編集力」が必要で、そこが優れていると結果としてお金が集まりやすい。しかもそれが無料で始められるのだから、やらない手はないですよね。1つ成功すれば次へ次へとステップアップしていけますし、ノウハウも貯まっていきます。

中谷:そのようにして蓄積されていくノウハウを、是非、全国に展開していただきたいと考えています。本事業は、夜間・早朝という非消費時間を活用し、消費機会の拡大や消費単価の向上、観光客の満足度の向上を実現するモデルを作り上げ、それをナレッジとして全国各地に展開することを目指しています。私どもは、微力ながら、そのような取組に尽力していますが、国にできることは限られています。ですので、観光業界の方々が、今の情勢ではデジタル技術の積極的な活用により教え合うかたちで、ノウハウが広がっていくことも期待しています。

「面で展開するPR」とは何か

ーー 本取り組みの中では、これまでCAMPFIRE上ではどんなプロジェクトが展開されててきたのでしょうか。

山中:ひとつは、香川県高松市の栗林公園で、シルク・ドゥ・ソレイユで活躍の予定だった日本人パフォーマーが、紅葉シーズンにライトアップされた幻想的な空間でパフォーマンスを行うという取り組みの「映像を通じて現代サーカスの魅力と楽しみ方を世界中の人に伝えたい」があります。

四国全体では集客力のある大規模イベントが秋以降乏しかったという課題があり、訪日外国人の満足度も高い、高単価なコンテンツを作ろうということで企画されたものです。すでに会場チケットは完売していたのですが、遠方に住んでいて現地に行けない方も多数いらっしゃるだろうということで、DVDやアーカイブ映像、お土産グッズ、手紙などをリターンに設定し、潜在的なファンにも訴求することに成功しました。

永谷:あとは奄美大島のオンラインサロンを作るプロジェクト「「はなはなの会」奄美大島と繋がるオンラインサロン」も新たな観光販促の取り組みですね。

インフルエンサーを起用するPRですと「1フォロワーにつき○円」というようなかたちで費用も結構かかりますし、最近では「PR案件が増えすぎると自分の世界観が崩れてしまうので、(24時間で消えてしまう)ストーリーズなら良いです」と言われてしまうことが増えています。

なのでオンラインサロンとして奄美大島出身の方やファンを募り、SNSのフォロワーが多くても少なくても、とにかくそこが好きだから参加してもらうかたちにする。月額料金は870円からなのですが、月8700円のプランもあって、奄美大島の黒糖焼酎やマンゴーなどが毎月送られてくるんです。

中谷:地元の方とその地域を好きな人とがつながれるところがメリットで、一緒に未来を作っていけるのは魅力的です。

永谷:どのプロジェクトについても、最終的には「そのディスティネーションが他と比べてどれだけ良いか」ということを伝える必要があって、かつ単発イベントではなく継続した取り組みとして続けられるようにPRする必要があるんです。

例えば鹿児島の酒造組合青年会の取り組みでは、世界遺産にも指定されている、島津家別邸の「仙巌園(せんがんえん)」で夜に焼酎を飲めるということをやっています。「そんなところでお酒が飲めるなんて!」というところも大きなPRポイントではありますが、同時に「焼酎ソーダ割りを推進する」ということもやっています。

ハイボール、レモンサワーとブームが続き、ウィルキンソンの消費量は未だに1.5倍ずつ上がってきているという中で、本格焼酎をソーダで割るといわゆる「味変」もできますし、中華料理でもビストロでも何でも合う。それをこれからPR会社を入れてプレスリリースを打ち、メディア取材を呼びかけることも計画しています。

あとは東京・京都の食べログ高得点の日本酒しか入れていないような有名店の大将に「焼酎のソーダ割りを飲んでみてください」とお願いしてみたり。「三岳サワー」というように、銘柄まで指定してメニューを作っていくというのを予算をとって仕込んでいます。さすがに全国津々浦々にキャンペーンを打つ予算はないので、まずは有名店からということですね。

さらにその取り組みも1つのメーカーだけでやるのはもったいないので、酒造組合のサイトをtoC向けにリニューアルしたり、食通の人に「焼酎のソーダ割りっておいしいんだよね」と広めてもらったりという展開も考えられますよね。単にどこか1つの場所、お店の振興プランとしてだけではなく、焼酎の消費量自体のアップにも寄与できるようなプランを構築するのが、私の考える「点ではなく面で展開する」という意味です。

地域事業者に「新しい武器」を配り続けるために

ーー 今後、こうした支援はどのように展開されていくのでしょうか?

中谷:本事業は今年度で終了となりますが、収益化・プロモーション等におけるコーチングを通じて地域事業者の自走を促進する取組は、大変有益であるとあると考えていますので、別の名称・座組みにはなるかもしれませんが、来年度も継続していきたいと考えています。現時点では、まだ発表できないことも多いのですが、予算の成立を待たずに構想を固め、私どもから情報発信をしていきたいと思います。

永谷:今回のインタビューで何度もお話ししてきましたが、私たちは地域の事業者さんが、各地域の魅力をより多くの人に伝えられるような「武器」をお渡しできるような存在でありたいと思っています。近年話題になっている「人材派遣型の企業版ふるさと納税(企業が自治体や地方企業に人材を派遣すると人件費相当額の税金が軽減される制度 )」を利用し、都心の優良な人的リソースを活用してもらうというのも一つのやり方だと思います。

山中:CAMPFIREとしては、引き続き地域の事業者さまの力になるようなサービス提供をしていくとともに、今回の観光庁さんとのこういったお取り組みに続き、他の省庁・全国の自治体ともお互いの知見とサービスを連携して取り組んでいきたいと考えています。ぜひお気軽にご相談いただければと思います。


CAMPFIREとは
あらゆるファイナンスニーズに応えるべく、個人やクリエイター、企業、NPO、大学、地方自治体など、様々な挑戦を後押ししてきた国内最大のクラウドファンディングです。
これまでに4.6万件以上のプロジェクトが立ち上がり、430万人以上の人から370億円以上の支援が生まれました。(2021年1月時点)
プロジェクトオーナーはCAMPFIRE にプロジェクトを掲載することで、支援という形で資金を集めることができ、支援者はプロジェクトへ支援することで、モノや体験などのリターンを得ることができます。