文:ヤジマミユキ
幼い兄妹が離れ離れで暮らす。それは大人が考える以上に孤独で、子どもにとっては大きな心の傷となって残ってしまう。
そんな子どもたちを救いたいという強い想いで、新たな家族を持った若き男性の決断を、あなたはどう感じるだろうか?
兄弟と離れて育てられた過去
アメリカ・オハイオ州に住む独身男性ロバート・カーターさん(29歳)は、12歳の時に母親のアルコール依存症が原因で里親に預けられ、8人の兄弟と離れ離れになってしまった。「私は里親に出された時、一番下の兄弟はまだ2歳でした。その後、彼が16歳になるまで、会うことはありませんでした」と、『FOX19』の取材に語っている。
カーターさんは2018年12月、ロバート君(9歳) 、ジョバンニ君(5歳)、キオンテ君(4歳)の3人の少年を養子にもらい育て始めた。すると、彼らは2人の姉妹であるマリオナ(10歳)、マカイラ(7歳)と6カ月間も離れていることを知った。カーターさんは姉妹の里親に連絡を取り、子どもたちを再会させることにした。
2019年6月、再会した子どもたちはお互いを見ると抱き合い、涙を流し、離れようとしなかった。その瞬間、カーターさんは「大丈夫。5人全員を引き取るつもりだから」と口にした。自身も里親の元で育ち、家族が離れ離れになる痛みをよくわかっていたカーターさんは、彼らに自分と同じ想いをさせたくなかったのだ。
カーターさんは2020年1月、子どもたちに約束した通り、5人全員を家に迎え入れた。そして半年間の養子縁組プロセスを経て、10月30日に正式な父親となった。『People』によると、カーターさんは3人の少年の里親になる前に、1年10カ月間も同居していた2人の里子の養子縁組に失敗していたため、この瞬間は特別なものでもあったという。
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