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文:佐郷顕
赤ちゃんのトレードマークとも言える蒙古斑。可愛いお尻などに青いしみのように現れ、日本人のほとんどに出来ると言われている。
この蒙古斑が、SNS上で大きな話題を呼んでいる。
赤ちゃんの蒙古斑を見て「虐待」とぼやかれる
あるTwitterユーザーの女性が赤ちゃんと一緒に電車に乗った時のこと、赤ちゃんの足にある蒙古斑を見たおばさんたちに「あんな小さい子を虐待して」などと、ぼやかれたという。
8月23日に投稿されたこのツイートは現在2万1000件のリツイートを記録し、「デリカシーがなさすぎる」「私も同じようなことを言われて傷ついた」などの多くの共感のコメントが寄せられた。大切に育てている我が子を見て、無知ゆえに「虐待」呼ばわりされることはとても腹立たしいことだ。
この反響を受けて、この女性は「蒙古斑はお尻以外にも出来る事をたくさんの方に知っていただきたいです」とコメントした。
赤ちゃんの身体に蒙古斑ができるという事実を知る人は決して多くはないだろう。この症状は「異所性蒙古斑」と呼ばれる。この記事をきっかけにぜひ、この異所性蒙古斑の存在を知ってもらいたい。
蒙古斑はお尻や背中下部だけとは限らない
蒙古斑は生後1週から1カ月頃までの赤ちゃんに現れる。赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる頃、肌を守るためのメラニン色素を作ってくれる「メラノサイト」という細胞の一部が皮膚の深いところに残ってしまうことによって出来る。
通常はお尻や背中下部にあることが多いが、背中上部・手の甲・足首・顔などの部位に見られることがある。これが異所性蒙古斑だ。決して虐待の跡ではない。
この異所性蒙古斑は通常の蒙古斑と同じく、学童期である10歳前後までに自然と消えてしまう場合が多い。遅くとも成人までに消失するのがほとんどだ。
例え、異所性蒙古斑が成人まで残ってしまっても安心だ。一般社団法人日本形成外科学会によると、異所性蒙古斑はQスイッチレーザー照射による治療が行われている。青いしみのような状態から普通の肌にすることが出来る。
「蒙古斑は身体のどこにでもできる可能性がある」という認識がもっと広がれば、疑われたり傷ついたりする人も減るはずだ。街中で赤ちゃんの身体に見かけた時は、どうか温かく見守っていてもらいたい。