CULTURE | 2019/07/26

令和⼀発⽬のブレイク芸⼈フワちゃんと、その仕掛け⼈が語る放送作家の新たな道とは

「おはぴよー!フワちゃんでーーーす!」

このハイテンションな挨拶をするフワちゃんを、テレビやYouTubeで見かけ...

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「おはぴよー!フワちゃんでーーーす!」

このハイテンションな挨拶をするフワちゃんを、テレビやYouTubeで見かけたことがあるだろうか。2018年4月にYouTubeチャンネル『フワちゃんTV』を開設するやいなや、そのギャルのような独特の言語感覚や個性的でカラフルなファッションで一躍人気者になったYouTuber芸人だ。

トップYouTuberと次々コラボを実現。あの渡辺直美さんや指原莉乃さんとプライベートで交流する人脈の広さを持っている。そんなフワちゃんに今回は芸人になったきっかけから、人間関係をうまく構築する秘訣までを聞いた。

さらに、『フワちゃんTV』動画内では声のみの出演が中心であるにも関わらず、その存在感に注目が集まっている放送作家の長崎周成氏にも一緒に話を伺った。

聞き手・文・写真:立石愛香

フワちゃん

YouTuber芸人:Twitter 

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長崎周成

放送作家:Twitter  

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フワちゃんと長崎氏の出会い

―― フワちゃんが芸人を目指そうとされたきっかけは何でしょうか? 

フワちゃん:学校の中では、よくいる人気者系の明るい面白いヤツで、大学の時にギャルの連れが、「マジ、あんた面白くない? フワは絶対に芸人をやった方がいいよ」と言い始めて、私も「確かに、マジ面白いよね」と思って(笑)。そのままワタナベエンターテインメントの養成所に入って芸人になりました。

そこで組んでいたコンビが解散する直前に周成と出会ったんだよね。2017年の頭で、今から2年半前くらいだったかな。

長崎:仲のいい芸人さんが、大勢僕の家に遊びに来た時に、フワちゃんも一緒に来たんです。

フワちゃん:私はコンビ解散をするかいろいろ迷ってた時に、周成や仲間のみんながいたから、「よっし解散するべ、いけー!」って勢いで解散できた。

その後はナベプロを離れて、フリーのピン芸人になりました。ガールズバーのキッチンで働きながら『R-1グランプリ』とかに出ていました。

―― 『フワちゃんTV』のスタッフとして、フワちゃんとの仲の良い掛け合いが注目されている長崎さんですが、『アオハルTV』を始め、多くの番組で放送作家としてもお仕事もされています。なぜ放送作家になりたいと思ったのでしょうか?

長崎:中学生の時に『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』が大好きで、布団の中でずっと聴いていて、その時は将来放送作家にというより、お笑いの世界に携わりたいと漠然と思っていました。実際に動き出したのは僕が高校2年生の時。サンドウィッチマンさんが優勝しM-1に熱狂して、その後同級生と漫才をやり始めました。

フワちゃん:周成はテレビにも出ていましたよ。

長崎:大学時代はテレビ朝日の『学生才能発掘バラエティ 学生HEROES!』というオードリーの春日俊彰さん司会の番組に出演していました。大阪で「霜降り明星」と合同でインディーズライブをやっていた時もありましたね。大学まで芸人を続けていたんですが、自分は出ることよりも考えて作ることが好きだったのでテレビ制作会社に入社しました。でもADは3カ月ぐらいで逃げ出して。

フワちゃん:はやっ!(笑)。

長崎:『ぐるぐるナインティナイン』の担当になって、ご飯を扱うことが多い番組だったのですが、ロケハンとかで出る美味しいご飯を全部食べちゃって、20キロぐらい一気に太っちゃったんです。自爆する前のセル(ドラゴンボールのキャラクター)くらい太って、これは死ぬと思って辞めちゃいました(笑)。

フワちゃん:え、太ったから辞めたの? ヤバっ(笑)。

長崎:作家になったのはその後です。当時『ぐるナイ』の作家さんだった松井洋介さんと打ち合わせでご一緒して刺激を受け、作家になることを決めました。

フワちゃんのイカしたセンスに惚れ込んだ

―― それぞれの道で頑張っていたお2人が出会って、1年後にYouTubeを始めるわけですね?

フワちゃん:今思ったら私は、事務所を辞めましたという報告や、『R−1グランプリ』の結果を動画でふざけて発信するのが得意だったから、周成が声を掛けた(笑)。

長崎:まあまあ、ざっくり言うとそうですね。YouTubeは編集ができる誰かが必要なんですが、フワちゃんのInstagramがすげえオシャレで色がかわいくって。動画は1秒30フレームの画像の連続でできているので「このインスタは編集に落とし込める」と思いました。

当時、仕事に対するフラストレーションが溜まっていたので、何よりも楽しいこと優先にして、面白いものを作れたらいいねという気持ちで始めたんです。

―― 編集がとても凝っていますよね。YouTubeの動画を作成する上で、お2人の役割分担はどうなっているのですか?

フワちゃん:企画は周成が考えて、私は後から編集を考えるというバランスかな。

長崎:テレビ制作的に言うとフワちゃんの役割がディレクターと演者で、僕が作家とプロデューサーみたいな。変な分かれ方をしているんですよ。

『フワちゃんTV』が始動してから超楽しい。話し合いながら肩とか組んじゃう、楽し過ぎて(笑)。と話すフワちゃん。

好きなことばかりをするのが大切

―― YouTube界のトップクリエイターの方とコラボ動画を出したり、フワちゃんが指原莉乃さんや渡辺直美さんたちと一緒に映っている写真がYahooニュースのトップに上がったりしていますよね。フワちゃんのその愛されるコミュニケーション能力はどこから来ているんでしょうか?

フワちゃん:誰かとつながりたいじゃなくて、私のYouTubeを観て友達になりたいと来てくれた人のパターンが多いですね。指原さんはあちらからコンタクトとってくださいました。渡辺直美さんは本当に道端でバッタリ会って、それでご飯に行きましょうとなりました。

フワちゃん:私は自分に何もない状態で人脈を広げても意味がないと思っていて、自分が好きなことや活動していること発信して、それが好きだと認めてくれる人を1人まず作れたら、そこから勝手に輪が広がっていくと思います。

長崎:一般人でも好きなことを発信しまくっていてフォロワーがめっちゃ多い人がいるじゃないですか。そういうパワーが圧倒的にフワちゃんにはあって、世間とニーズが合っていたんじゃないかな。

フワちゃん:だから誰かとご飯に行かなきゃとか、そんなことを思う必要はなくて、それより自分のやるべきことをしっかりやった方がいいと思う派です。だから、みんなも人脈とかじゃなくて好きなヤツと遊ぼう!

―― 人を引き寄せる明るいエネルギーがすごいですよね。

フワちゃん:私はめっちゃ怖いもの知らずなんです。最悪しくじってもいいやと思っていて、例えばYouTubeのトップクリエイターの人たちに気に入られたら万々歳だし、そこで何だよあいつと言われてもマジで何もないんですよ。何も怖くないから、ちょっと踏み込んでいける。

長崎:最悪、誰もフワちゃんを知っている人がいない海外逃亡を考えているんで(笑)。フワちゃんの友達になろうぜのパワーと好きなことの発信力はえぐい。好きなことを全部だーっと出して、それに付いてきてくれる人が人脈というか、横に友達のようにつながっていく感じですね。

フワちゃん:一回友達になっちゃったら、一生友達だしずっと好きな人達とつるんでいたい。もちろん人脈を広げるために知らない人とご飯を食べるのが好きという人は、全然それはそれでいいと思います。でも、無理して接待するより家に帰って嫁とご飯を食べたほうが楽しいんじゃないの、分からないけど。

―― 確かに、本当はそう思っているビジネスパーソンの方も多いかもしれないですね。

フワちゃん:その嫁が好きというのもキャラになるんだから、ちゃんと自分の好きなことばかりやった方がいいですよね。

オリンピックを誘致させるアイコンになりたい

―― 今後、お2人が挑戦してみたいことを教えて下さい。 

長崎:『フワちゃんTV』で言うと、月並みですけどチャンネル登録数100万人はいきたいなと思っていますね。(2019年7月現在、『フワちゃんTV』(約30.5万人)と『フワちゃんFLIX』(約8万人))そこで初めて「YouTubeで何かやったぞ」と言える感じはあるのかなと。芸人・作家の二人三脚でYoutubeを頑張りたいです。超恐縮で僭越な表現ですが、ダウンタウンさんと高須光聖さんのように。

―― YouTubeをある種の起業みたいなイメージで捉えている人は割と多いと思うんですけど、PVや登録者数だけを稼ぎたいのなら、ある程度数をたくさん出せばいい、という考えもあると思うんです。だけど、『フワちゃんTV』は、1本1本のクオリティが高くてアーティスティックなイメージが強いです。そこが視聴者に受け入れられている1つの秘訣なのかもしれませんね。

長崎:そうですね。更新は少ないけど、毎回“神回”を目指して動画を作りたいですね。

今はYouTuberの企画のネタを出す「YouTuber作家」と今言われる人たちが結構いて、僕もフワちゃんと会う前は、何人かのYouTuberのチャンネルを担当していたんです。その時思ったのは企画をひねり出すのではなく、自分自身が好きなことをやっていないと結果はついてこないなと。なので今のフワちゃんと二人で好きなことをやる形は個人的には“楽しくやれる”に繋がっていると思っています。

―― 楽しい雰囲気が動画からビシビシ伝わってきます。フワちゃんは新たにやりたいことはありますか?

フワちゃん:オリンピック関連の仕事をしたいです。私はスポーツも好きだし、英語もしゃべれるし、ちょっとジャパニーズ・カワイイの要素もあるから、「私、適任じゃん」って思います。日本で放送されるオリンピック番組に関わって、それで海外の人が日本に目を向けるきっかけの1つになったら超最高。本当にざっくりしているんですけど、オリンピックに興味ない層と興味……。なんて言うの、これ。

長崎:オリンピックに興味ない人たちと、盛り上がっている人たちの架け橋的な存在になりたいということ?

フワちゃん:そう、そういうこと。

長崎: そんな使命感にかられているの!?なんでだよ(笑)。

* * *

この方がお金になるし、うまく生きていけるだろうから。みんなやっているから自分もしなきゃ。

そんな損得感情で自分の人生をつぶしたら最悪。

できる限り好きなことをして自然体でいること。それが自分本来の適した場所へと導き、居心地の良い環境の形成につながる秘訣だと感じた。

取材中もYouTubeチャンネル同様に笑いが絶えない2人は、これからますます活躍の場を広げ、日本中そして世界中に元気を届けてくれることだろう。


フワちゃんTV

フワちゃんFLIX