「SHAPE」シリーズの「Kyoto -耀-」。メモをすべて使い切るとオブジェが出現する。
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取材・文:6PAC
Twitterのバズがきっかけで、あっという間に入手困難に
2018年1月、あるTwitterユーザーのつぶやきを発端に、瞬く間に情報が世界中に飛び火し、入手困難になった商品と言えば何を想像するだろうか。ヒントはメモ、清水寺、浅草寺、東京タワー。ピンときた方は多いのではないか。
答えは「OMOSHIROI BLOCK」というブロックメモ帳だ。
「もともとは建築模型制作会社としてスタートしましたが、今ではトータルデザイン会社として事業を展開しています」という、販売元の株式会社トライアードの企画営業部マネージャー兼広報マネージャー、妹尾恵理子氏を取材した。
大阪本社を筆頭に、東京と京都にもオフィスを構えている同社は、「OMOSHIROIをかたちに」をコンセプトに、建築模型の制作から事業を始めた会社だ。しかし、今ではデザイン・模型制作・建築設計とさまざまな事業を展開する。主要顧客は、自治体や不動産・住宅関連といった企業(BtoB)が多い中、なぜ一般消費者向け(BtoC)の面白文房具である「OMOSHIROI BLOCK」が誕生したのか、訊ねてみた。
すると、「建築模型の製作は、緻密で繊細な技術を要します。その技術を、“建築模型に親しみのない個人の方々にも触れてもらいたい”、“国内外すべての老若男女の方にワクワクするような、刻まれた一瞬一枚を、そして精巧かつ繊細なデザインを手元で楽しんでもらいたい”、そんな私たちの想いやアイデアと、建築模型で培われた立体造形などの技術の融合から生まれました」と、「OMOSHIROI BLOCK」誕生の背景を語ってくれた。
手作業ゆえに量産不可
写真は「SCENERY」シリーズの「京の清涼」
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「OMOSHIROI BLOCK」は、3Dの建物が現れる「SHAPE」(一部を除き税抜1万円)、風景が出現する「SCENERY」(税抜5800円)、錦鯉や桜など日本を連想するものが出現する「SCENE」(税抜980円)の3シリーズを展開。手作業で1枚1枚、レーザー加工したメモ用紙を重ねて制作しているため量産が出来ないという。
ぱっと見は、ごく普通のブロックメモ帳なのだが、メモを使っていくたびに隠されていた立体作品が出現する仕組みとなっているのが、「OMOSHIROI BLOCK」最大の特徴。切り取ったメモ用紙を折り曲げて立てると、そこにも切り絵のような細工が施されている。出現するデザインのモチーフは、「日本らしいデザインや構造美を意識して、選ばせていただいております」という。
この職人魂が爆発しているかのような、芸術的とも言えるブロックメモ帳に、インターネットユーザーや世界中のメディアが飛びついたのはいうまでもない。インターネット上で話題になると、同社ウェブサイトへのアクセスが集中し、サーバーがダウンしてしまったそうだ。同時に、引き合いや問い合わせも国内外から数多く入ったという。
日本国内メディアでの紹介(一部)
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1801/19/news103.html
https://irorio.jp/nagasawamaki/20180128/435490/
http://www.news24.jp/articles/2018/01/17/07383166.html
https://withnews.jp/article/f0180116002qq000000000000000W00o10101qq000016615A
海外メディアでの紹介(一部)
https://laughingsquid.com/omoshiroi-block-memo-pad/
https://www.boredpanda.com/japanese-architecture-landmarks-memo-writing-pad-omoshiro-block/
https://boingboing.net/2018/01/15/omoshiro-block.html
https://www.thisiscolossal.com/2018/01/omoshiro-block-a-paper-memo-pad-that-excavates-objects-as-it-gets-used/
https://www.curbed.com/2018/1/16/16895954/omoshiroi-block-memo-pad-japan-triad
プレミアム価格の転売や類似品も登場
話題になる=爆発的に売れるという図式が必ずしも成立しないケースもあるのだが、「OMOSHIROI BLOCK」はこの図式通りとなった。元々、大量生産出来ないこともあり、東急ハンズなどの取扱い店舗では品切れが続出。同社のオンラインショップでも「SOLD OUT」の文字が表示される事態となった。なお、6月18日からは久々に「SHAPE」「SCENERY」の販売が再開されたので、気になっていた人はぜひチェックして欲しい。
お客さんへのメッセージは日本語と英語を併記。海外からの注文も多いことがわかる
「入手困難のレアアイテム」と化した影響で、定価で販売されている同社の公式オンラインショップや、正規取扱店以外では、「OMOSHIROI BLOCK」にプレミアム価格がつくことになった。国内外のショッピングサイトでは、定価の2~3倍程度で販売されているようだ。また、御多分に漏れず海外では類似品が出回っている模様。プレミアム価格や類似品といったものは、人気のバロメーターとも言えるので、それだけ「OMOSHIROI BLOCK」が国内外で人気となっている証だろう。
「OMOSHIROI BLOCK」は、話題になった結果、爆発的に売れた商品というところだけにはとどまらなかった。2018年11月には、香港デザインセンターが主催するアジアデザイン賞(DFA Design for Asia Awards)で、スペシャルメンションという賞を受賞した。ソニーの「aibo」が大賞を受賞するなど、優れたデザインを表彰するアジアデザイン賞で、「OMOSHIROI BLOCK」の高いデザイン性も評価されることとなった。
新商品としてたこ焼きも登場
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今後は「たこ焼き」「大阪城」などの新商品が発売される。今後も「OMOSHIROI BLOCK」は新しい商品ラインアップが増えていくことであろう。「日本らしいデザインや構造美」という切り口だと、スカイツリー、富士山、法隆寺、通天閣、お好み焼き、ラーメンなども新作として見てみたい気がする。