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文:仲田拓也
新型コロナの感染者が全世界で350万人を超えた。感染や死者の増加のピークは過ぎたとも言われるが、経済活動再開後の第二波、第三波の流行が警戒されている。
そんな中、視力が悪い人にとって意外なコロナ感染予防法が注目されている。
コンタクトレンズユーザーは顔に触れる回数が多い
アメリカ眼科学会は、新型コロナウイルスが蔓延している中、コンタクトレンズよりメガネを使用するべきと提案した。
『CNN』の取材に答えた同協会の広報担当の眼科医トーマス・ステイマン氏によれば、コンタクトレンズを使用している人は、レンズの着脱時だけでなく、メガネの使用者よりも日常的に顔に触れる回数が多くなるという。
ウイルスが付着した手で顔を触ると、口や鼻からウイルスが体内に侵入する可能性が高くなる。最適な感染予防は徹底した手洗いというのは誰もが知るところだが、米国疾病対策予防センターの発表によると、コンタクトレンズユーザーの3分の1が、コンタクトレンズの出し入れ時にですら手を洗うなどの衛生対策を怠っているという。
「メガネ自体で鼻や口の粘膜を防護することはできませんが、メガネを使用することは新型コロナウイルスを近づけないようにする方法のひとつです」と、ステイマン氏は語っている。
また、ロンドンの眼科医であるサブリナ・シャーデサイ氏も、メガネのレンズが、咳やくしゃみによる飛沫感染に対する「部分的な防御シールド」として機能する可能性があるという見解を『DailyMail Online』の取材で述べている。また、合わせてメガネに直接触れず、正しく洗浄するように促した。
目の異常を感じたら要注意?
さまざまな症状が発症する新型コロナウイルスだが、結膜炎を起こす可能性が指摘されている。結膜炎は白目とまぶたの内側にある結膜で起きる炎症であり、ステイマン氏によると「結膜は湿度が高く、ウイルスにとっては快適な環境」だという。実際に中国など世界各地からの報告によれば、新型コロナウイルス患者の約1%から3%に結膜炎の症状が見られたとのこと。
この報告により、12を超えるアメリカの眼科医組織は眼科医に対して、緊急の場合以外はできるだけ患者の診察を中止するように指示を出している。アメリカ眼科学会の発表によれば、涙の中にウイルスが含まれるが、それにより感染が広がるという点についてはまだ不明な点があるという。
といっても、重要なのはパニックに陥らないこと。一般的な風邪の中にも、結膜炎を引き起こすものは多く、さらにシャンプーや目薬、アレルギーなどによっても、目が赤くなることはある。それでも、目が赤くなる以外にも発熱や咳、呼吸困難など、新型コロナ肺炎の明確な症状がある場合、感染の可能性はゼロではないだろう。
いずれにしても大切なのは正しく恐れるという姿勢。ソーシャルディスタンスや適切な手洗いなどの予防法を行った上で、手で顔に触れる機会を減らすために、コンタクトレンズではなく、メガネを選択するというのも有効な手段のひとつかもしれない。