文:岩見旦
ゴールデンウィークにも関わらず、緊急事態宣言により、外出自粛している人も多いだろう。新型コロナウイルスの新たな感染者は減少傾向に転じているものの、まだまだ予断を許さない状況が続いている。しかし、長引く隔離生活で気が緩み、街に繰り出す人の姿もちらほら。
そんな中、インド警察が公開した過激な啓蒙動画が注目を集めている。
血相を変え、逃げ惑う若者たち
南インドのタミル・ナドゥ州では、ロックダウンが実施されており、市民は集団で外出することが禁止されている。必要なものを購入するためには指定された時間に、マスクを着用しなければならない。
動画は、同州ティプールの道路で検問を担当している警察官が、マスクをせずにバイクに乗っている3人の若者を止めたところから始まる。警察官は若者に「なぜ3人はバイクに乗っているの? マスクはどこにあるの? マスクがないと、何が起こるか分からない?」と尋ねる。しかし、若者の返答に満足いかなかった警察官は、恐ろしい罰を課することに。
若者たちは救急車のバンの中に入るように指示されたが、その中には咳をするコロナ患者が。血相を変えて、乗車を拒否する若者たち。警察官に掴まって、救急車の中に閉じ込められるも、ドアを叩いて懇願したり、窓から脱走としようとしたり大慌て。コロナ患者が近づくと若者たちは、悲鳴を上げて怯えた。
患者は実は役者
動画後半、すっかりお灸を吸えられた若者の前で、警察官がカメラに向かってスピーチを始める。
「彼らは街をうろついているところを捕らえられ、マスクを持っていないと言いました。我々は彼らにマスクを着用しないことのリスクを理解させるため、救急車に閉じ込めることにしました」と語る警察官。「救急車の中にコロナ患者がいると知った時、彼らは初めて命の危険を感じたのです」とも。
そして、「人々は新型コロナウイルスが目に見えないからこそ、この恐ろしさに気づかないのです。しかし、ウイルスはどこにでもある可能性があります。これがロックダウンを実施した理由です」と付け加えた。そして、この救急車の中にいたコロナ患者は役者であると明かし、マスク着用の重要性を訴えた。
この動画は4月下旬に複数のFacebookページで紹介され、数百万回もの再生を記録。多くの称賛の声が寄せられた。ただし、日本では絶対にありえない啓蒙動画だろう。