伊藤僑
Free-lance Writer / Editor
IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。著書に「ビジネスマンの今さら聞けないネットセキュリティ〜パソコンで失敗しないための39の鉄則〜」(ダイヤモンド社)などがある。
AppleとGoogleの緊張関係に変化の兆しが
AppleとGoogleは4月10日(米国時間)、新型コロナウイルス(COVID-19)対策として、濃厚接触の可能性を検出する技術で協力することを発表した。両社のニュースリリースはこちら(apple、Google)
人類全体にとって喫緊の課題である「新型コロナ対策」のためとはいえ、長年ライバル関係にある両社が共同プロジェクトを立ち上げたことは、異例のコラボであると驚きをもって迎えられた。そういえば、1月にAppleが提案したSMS認証の標準化(すべてのSMSに対してワンタイムパスコードを標準化すること)についてもGoogleは支持を表明しており、両社間の緊張関係は徐々に緩んできているのかもしれない。
今でこそ激しい競争を繰り広げる両社だが、かつてGoogleの創設者であるラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンがAppleのスティーブ・ジョブズをメンター(指導者・助言者)として敬愛していたことは広く知られている。当時はMicrosoftという共通の敵があったこともあってAppleとGoogleは蜜月関係にあり、Googleのエリック・シュミットはAppleの取締役も勤めていた。
その蜜月関係は、GoogleがiPhoneと競合するAndroidを開発したことによって崩れ去った。ジョブズはAndroid開発の報を聞いて、すごい剣幕で怒りまくったと伝えられている。
以来、両社の間で激しいつばぜり合いが繰り広げられてきたことはご存じの通り。新型コロナ対策のためとはいえ、その緊張関係に変化の兆しが見えてきたことは興味深い。