文:I.M.
現在アメリカの多くの地域では、新型コロナウイルスの流行のため「ロックダウン」が始まり、外出の際にはソーシャルディスタンス(他人との距離を確保する)が推進されている。介護施設などへの訪問も禁じられており、家族と会うことも困難だ。
そんな中、ある男性が介護施設の母親に会うために驚きの手段を使ったと、大きな反響を呼んでいる。
3階の母親に会う斬新なアイデア
米国オハイオ州に住むチャーリー・アダムスさん(45歳)は植木事業「アダム・ツリー・プレザベーション」を営んでいる。チャーリーさんの母親ジュリアさん(80歳)は、介護施設の3階に入居しているが、現在「ロックダウン」のため、息子のチャーリーさんとは会えない状況だ。
『News5 Cleveland 』によると、ジュリアさんはかねてからチャーリーさんに電話をかけ「ディナーに出かけたい」と伝えていたという。普段は週に2回ランチやディナーに連れ出しているが、現在外出は不可能だ。そのことを伝えると、ジュリアさんはふさぎ込んでしまった。
そこでチャーリーさんは、そんなジュリアさんのことを励まそうと、あるアイデアを思い付いた。
窓越しに再会した親子
3月22日、チャーリーさんは仕事で使う高所作業車を出動させ、ジュリアさんが住む施設に向かった。そして、到着するとバケットに乗り込み、ジュリアさんのいる3階の窓の外まで伸ばした。チャーリーさんが現れると、部屋にいたジュリアさんは「おやまあ、わが子よ。最高だわ!そこで何をしているの?」とビックリ。ジュリアさんは若いころから大のトラック好きで、チャーリーさんが小さい頃にはトラックやトラクター見学に出かけていたそうだ。
こうして2人は、無事再会することができた。チャーリーさんはジュリアさんに読みたい本や見たい映画はないかなどと尋ね、窓越しに10分程会話を交わしたという。高所作業車の下ではチャーリーさんの妻コリーさんが愛犬たちと共に2人の姿を見守っていた。ジュリアさんが犬たちにも会いたがっていたため、わざわざ連れてきたのだ。
ふさぎ込んでいた母親に笑顔が戻った
この日、親子の再会を見守っていたコリーさんは、2人が窓越しに話す姿を写真に収めた。その写真を叔父がFacebookで公開すると、瞬く間に話題になり、親戚や友人から連絡が殺到。現在ジュリアさんは、チャーリーさんと出会えたことで、明るい笑顔が戻ったという。
ちなみにチャーリーさんは事前に施設に連絡し、高所作業車で訪問することが可能であるかを尋ねた。施設側は「節度あるアイデアだ」と、来訪を許可したとのこと。
チャーリーさんは仕事がいつも通り終われば、数日後にでも再度母親に会いに行く予定で、「この小さなストーリーが、誰かを笑顔にできるなら嬉しいよ。ほんの2分間でもね。それだけで、良いことをしたって感じるよ」と『GoodMorningAmerica』の取材に語った。今世界を恐怖に陥れているコロナが収束し、再び親子水入らずの時間を楽しめることを望んでやまない。