文:coolpolaris
今日の急速に変化するビジネス環境や社会において、企業の寿命は格段に縮まっている。かつては60年と言われていた米大型株500銘柄の寿命は、今や18年程度。それだけ存続させるのが難しいということだ。
そんな中、イギリスの金融関連情報を発信している『BusinessFinancing』が、「各国に現存する最古の企業」というマップを発表した。
世界最古の企業は日本の「金剛組」
BusinessFinancingが発表したマップは、各国の最古で現存する企業を、色分けしてマッピングしている。西暦500年〜749年創業は濃い青で、現代に近づくにつれ明るくなり、1750年〜1999年創業は黄色だ。正確な情報が無いものはグレーで表示されている。
世界最古の企業のトップ10は以下の通り。
1位 金剛組(578年創業・日本)
2位 シュティフツケラー・ザンクト・ペーター(803年創業・オーストリア)
3位 シュタッフェルター・ホフ(862年創業・ドイツ)
4位 パリ造幣局(864年創業・フランス)
5位 ロイヤルミント(886年創業・イギリス)
6位 ショーンズバー(900年創業・アイルランド)
7位 ポンティフィカルマリネリファウンドリー(1040年創業・イタリア)
8位 アフリゲム醸造所(1074年創業・ベルギー)
9位 モンクスミル(1135年創業・ベルギー)
10位 マーユチンのバケツチキンハウス(1153年創業・中国)
世界に現存する最も創業が古い企業は、日本の神社仏閣の建設会社である「金剛組」だ。2位に大差をつけてのダントツのトップ。創業年の578年は、聖徳太子が統治していた飛鳥時代だから驚きだ。聖徳太子の命により四天王寺建立のために、百済から招かれた金剛重光が創業した。2006年に建設大手の高松建設グループに買収されたものの、1440余年の時代を経て、宮大工の技術を今に伝える。
それぞれの地域の最も古い企業を見てみよう
北米の最古の企業は、1534年に設立した「メキシコ造幣局」。スペインのアメリカ大陸征服者の所有だったこともあり、「8レアル銀貨」つまりスペインドルがここで造られている。南米は「ペルー造幣局」で、スペインの植民地時代の1565年に設立した。
ヨーロッパの最古の企業は、803年創業のオーストリアのザンクトペーター教会に隣接する「シュティフツケラー・ザンクト・ペーター」というレストラン。アジアでは前述の通り、日本の金剛組が最も古く、次ぐ2位は中国の 「バケツチキンハウス」で、創業は1153年。河南省の文化遺産に指定されている。
アフリカは長い間の植民地時代の影響もあり、企業はいずれも1750年以降の創業だ。最古の企業は、1772年に設立した「モーリシャス郵便局」。オセアニアでは、1809年設立の「オーストラリア郵便公社」で、正式に国家として認められる1901年のほぼ1世紀前から存続する。
全体図を見ると、日本や中国、ヨーロッパに創業年が古い企業が多く、南下するに連れ近年になって創業した企業が多くなる。南部には、20世紀になってから、脱植民地化により国家として独立したところが多いからだ。各国の最も古い企業は、その地域の開拓の歴史だ。