文:岩井聡史
SNSの普及が過度なイタズラを助長させているのだろうか。日本でもTwitterなどで、イタズラとは呼べないような行動を面白がって発信する人が後を断たない。
アメリカでも同様だ。コロナウイルスを利用したイタズラを行った10代の若者に、批判の声が集まっている。
地下鉄の車内がパニックに
この動画は、1月末にニューヨークの地下鉄で撮影された。全身を防護服に包んだ2人の若者が、白いケースを抱えているシーンから始まる。ケースには「WARNING(警告)」と書かれており、中にはオレンジ色の液体が入っている。
乗客の1人は、防護服の2人に向かって「それってコロナウイルス?」と尋ねた。するとケースを持った若者が蓋を開け、転ぶフリをしてケースの中の液体を床にこぼしたのだ。地下鉄の乗客は悲鳴を上げ、急いで服の袖で口を覆う人もいれば、液体に触れないようにその場から走り出し座席の上に乗る人もいた。一部の乗客はイタズラであることを理解しているようだったが、車内は騒然となった。
冗談で済まされないイタズラ
このイタズラを行ったのは、10代のインスタグラマー2人組。SNSに動画をアップロードすると、面白がる声もある一方、批判のコメントが殺到した。2人は『INSIDER』の取材に、「地下鉄の乗客は最初は怖がっていたが、イタズラだとわかって楽しんでいた」と語っている。
ニューヨーク市地下鉄を運営するMTAの会長パット・フォイエ氏も「今の時勢を考えると、二人の行動は全く無責任だ。この種のイタズラは不快な上に危険でもある」と声明を出した。
コロナウイルスを装ったイタズラは他にもある。カナダのトロントからジャマイカに行く飛行機の機内で今月3日、28歳の男性がコロナウイルスに感染した振りをした。結果的に、飛行機は緊急事態として目的地を変えることになり、イタズラをした若者は逮捕されることになった。
人々を驚かせて喜ばれるようなイタズラなら笑えるかもしれないが、今回のイタズラは悪質と言わざるを得ない。SNSという情報が一瞬にして世界中に広まるツールがある現在、出来心でしたイタズラがどんな反響を生むのかしっかりと考える必要があるだろう。