文:coolpolaris
インド・ムンバイなどの都市部では、赤信号の待ち時間が長くなると、車が一斉にクラクションを鳴らす習慣がある。しかし言うまでもなく、この行動は騒音に繋がり、社会問題となっている。
そこでこの問題を解決すべく、ムンバイ警察が立ち上がった。
85デシベルになったら待ち時間がリセット
ムンバイ警察が取り組んだのは、「ザ・パニッシュメント・シグナル」というキャンペーンだ。信号機に音量を測る機器が取り付け、赤信号で止まる車からのクラクションで85デシベル(犬の鳴き声や地下鉄の車内に相当)以上を記録すると、カウントダウンしていた赤信号の待ち時間がリセットされ、90秒まで戻ってしまう仕様にした。
つまり、早く動き出したければ、クラクションを鳴らしてはならないのだ。交通量の多い場所で、少しでも騒音を減らし一般市民の不満を軽減しようという試みである。この信号機は昨年11月から12月にかけて、実証実験として設置された。
クラクション常習者に対して、ムンバイ警察は、「待たされても構わないなら、どうぞ遠慮無く!」という挑発的なキャッチフレーズを叩きつけた。
同様の取組がインド各地へ広がる
実はムンバイ警察のこの対策。世界的には珍しいものではないのだが、インドでは騒音公への取組が遅れていたため、各方面から賞賛を浴びた。インドの南東に位置するテランガーナ州のK・T・ラマ・ラオ大臣は、州都ハイデラバードでも同様の取組を行う考えを表明。自身のTwitterを通じて、官僚たちにすぐに取り組むよう働きかけた。インド東部ベンガルの警察長官であるバスカル・ラオ氏も、デシベルメーターの取付けに前向きな発言をしている。ムンバイの取組が、インド全土に拡がり始めている。
世界保健機関 (WHO) によると、85デシベル以上のノイズに8時間以上さらされると、高血圧、難聴、睡眠障害、認知症などを罹患する可能性が高まり、子どもの発達や妊婦にも影響するという。騒音公害の影響については、特に未来を担う若者に問題意識を持ってもらいたいが、インドでは今回のキャンペーンをきっかけに世論も動き出している。今後も大きなうねりとなって、官民あげた取組が活性化することを期待したい。