文:岩井聡史
11歳の起業家、自身のレモネードブランドを作る
米国バージニア州リッチモンドに住む11歳の男の子、オーブリー・グリーン君はある日、母親のマックレイさんに、割引されたあるメーカーのレモン絞り器の写真を送り、買って欲しいとおねだりした。マックレイさんは、オーブリー君の希望通り、レモン絞り器を買い与えた。これが彼にとっての起業家人生の始まりだった。
レモン絞り器を買ってもらったその日から、オーブリー君はレモネードのレシピの研究をスタート。試行錯誤の末、独自のレシピを完成させた。マックレイさんはこのレモネードを職場に持っていった。すると、マックレイさんの同僚は、すっかりこのレモネードの虜に。
当初、マックレイさんは同僚にコップ一杯ずつオーブリー君のレモネードを配っていたが、同僚の間ですっかり人気となり、レモネードをボトルで提供するほどにまでなった。
そこで、オーブリー君はこのレモネードを「Breezzy'sレモネード」としてブランド化し、ネット販売を開始。このレモネードはさらに話題を呼び、ついには地域のスーパーマーケットまでもがこのレモネードを販売したいと申し出た。
「Breezzy'sレモネード」に加え、オーブリー君の作ったさまざまな味のジュースがスーパーマーケットの棚に陳列されると、またすぐに人気を獲得。販売開始からリピーターが続出し、数日ごとに在庫を補充しなければならないほどに。現在はすぐに売り切れてしまい、補充も追いつかないほどだという。
「起業」が自閉症克服のきっかけに
オーブリー君は11歳で起業家となり自身のブランドを作った一方で、彼は自閉症でもあった。しかしオーブリー君は「起業」という、自閉症を克服する彼なりの方法を見つけることができた。
「オーブリーは最初からレモネードを販売しようという目的でレシピを考案したわけではありません。彼にとって自閉症の治療でした」と『ABC 8 News』に語るマックレイさん。「彼はレモンを絞る前にすべてのレモンを転がしてから切りバケツに入れます」と独自のレシピを明かした。
オーブリー君の支援者であるアール・ヒューズさんも、彼が起業する姿を見て「自閉症は一般的に障害だと思われているが、どんな子どもにも優れた点はたくさんある」とコメントしている。
自身が自閉症で悩んでいる人や家族が自閉症で悩んでいる人も多いことだろう。しかしヒューズさんの言葉を思い出して欲しい。自閉症をただの障害と捉えて悲観するのではなく、どんな子どもにもある優れた点を伸ばしていくことで、自閉症は克服できる。
そんな心強いメッセージを、11歳で起業を果たしレモネードのブランドを立ち上げたオーブリー君の経験から受け取ることができる。