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夏になると「暑さ」に対する関心が高まり、その危険性がよく話題に上がる。その甲斐あって熱中症対策が広まりつつある。
その一方、冬の「寒さ」を意外と軽視していないだろうか。
凍死の多さがSNSで話題に
厚生労働省の人口動態調査による『人口動態統計』で確認する。そこには日本国内の日本人の死因が「自然の過度の高温への曝露」、「自然の過度の低温への曝露」として、それぞれ「熱中症」、「凍死」で亡くなった人の数がまとめられている。2017年に熱中症で亡くなった人は635人に対し、凍死で亡くなった人は1371人と2倍以上も凍死の方が多いことが分かる。
2014年〜2017年の4年間の合計をチェックしてみると、熱中症は2753人で凍死が4657人と、凍死の方が多いというわけだ。
凍死は、深部体温が35℃以下に低下した状態である「低体温症」が招くとされている。低体温症を防ぐため、衣服が濡れたらすぐに脱ぎ、毛布などで身体を保温。湯たんぽを脇の下や股の付け根など、太い血管がある辺りに当てるのも良いとされる。
また、脱水症状や低血糖症も伴うため、水分補給も肝心だ。ただし、コーヒーや紅茶など、カフェインの入っている飲み物だと利尿作用で脱水症状を起こすことがあるので、注意してもらいたい。
乱高下する2018年以降
かと言って、熱中症に油断するべきではない。
2018年から2020年にかけて、熱中症による死亡が激増しており、2018年に1581人、2019年に1224人、2020年に1528人という結果となっている。また一方で、凍死の人数は2018年に1278人、2019年に1086人、2020年に1054人、と決して減少しているわけではない点にも注意してほしい。
なお2021年には熱中症による死亡者数は755人にまで減少し、2014年から2021年の7年間の合計は熱中症が8920人、凍死が1万402人と、再び凍死の方が多い結果になったが、熱中症による死亡者数が今後も減少し続ける、あるいは低い値をキープするとも考えづらい。
夏も冬も「例年通り」と油断せずにしっかりと対策をして過ごしてほしい。
文:宮西瀬名
2022年12月14日更新(初出は2020年1月10日)