文:岩見旦
先月、米国ジョージア州立大学で準学士号を取得したラトーニャ・ヤングさん。弁護士になるという夢を実現するため、新たな一歩を踏み出したヤングさんのお祝いに駆けつけたのは、ヤングさんの家族、友人、そしてヤングさんが乗せたUberの乗客がいた。
偶然の出会いが生み出した感動の話がSNS上で多くの感動を呼んでいる。
シングルマザーのUberドライバーに出会った男性
ジョージア州に住む43歳のヤングさんは、3人の息子を持つシングルマザー。美容師としての収入を賄うため、5年ほど前から配車アプリUberのドライバーとなった。
昨年夏、ヤングさんはアトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムで一人の男性を車に乗せた。車の中でおしゃべりをしていると、次第に会話は深いところに入った。
ヤングさんは16歳の時に長男を妊娠し、高校を中退しなければならなかったこと。その後GED(高卒認定試験)に合格したこと。そして、大学に行ったものの、700ドルの未払いを支払う余裕がなく、大学を中退しなければならなかったことを話した。
ヤングさんは『CNN』のインタビューに「大学にお金を払う準備ができるたびに、子どもたちは何かを必要としていました」と明かした。そして「その度『わかった。私が待つわ』と答えていました」とも。
高い成績をキープし学位取得
数日後、ヤングさんのもとに大学から連絡が入った。授業を受ける資格が戻ったという知らせが入ったのだ。なんとUberに乗せた男性、ケビン・エッシュさんが、未払いのお金を払ってくれたのだ。「文字通り、飛び上がるほど驚きました」と話すヤングさん。
その後、大学に戻ったヤングさんは、未払いを返済してくれたエッシュさんの期待に応えるため、常に高い成績をキープ。そして、刑事司法の準学位号を取得した。
エッシュさんは『CNN』の取材に、自身にとってヤングさんは励みであり、助ける機会が得られて感謝していると回答。さらに「彼女には何かがありました。私は彼女に共鳴し、大きな友情を築きました。彼女の行動を誇りに思います」と付け加えた。
ヤングさんは今月授業に戻り、学士号を取得する予定。最終的な目標は、ロースクールに通い弁護士になることだという。
エッシュさんの支払った金額は700ドルと決して高額ではない。しかし、この僅かな金額が足かせとなり、チャンスを掴めない人は実際に大勢いるだろう。エッシュさんの行動は多くの人にとって大きな希望になったに違いない。