EVENT | 2020/01/06

売り切れ続出。安定供給は半年後!?透明な消しゴム「クリアレーダー」発売後の反響を訊いてみた

Copy Right (C)SEED CO.,LTD. All Rights Reserved.2019
取材・文:6...

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Copy Right (C)SEED CO.,LTD. All Rights Reserved.2019

取材・文:6PAC

約5年の開発期間を経て、発売前から話題に

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「ありそうでなかったもの」が話題になることは多いものだが、「ありそうであったもの」が話題になるにはなにかしら新しい切り口が必要になってくるのが定石だ。

「透明な消しゴム」は以前から発売されていたが、大阪に本社を構える株式会社シードが2019年9月に発売した「クリアレーダー」は発売前から話題となっていた。発売後も勢いは衰えず、入手困難な状況が続いている。

同社は前身会社の創業がなんと1915年(大正4年)。消しゴム専門メーカーとして誕生し、1956年にプラスチック消しゴムを開発、また1989年に世界で初めて修正テープを開発したメーカーでもある。クリアレーダーは1968年に発売されロングセラーとなっている「レーダー」シリーズの最新作となる。「柔軟性のある素材」、「グリップ力のある消し心地」、「折れにくい特殊生地」がキャッチコピーのクリアレーダーは、価格が100円(税別)のサイズ小さめな「クリアレーダー100」と、価格が150円(税別)のサイズ大きめな「クリアレーダー150」の2つを展開する。

プラスチックを主原料に、約5年の開発期間を経て発売されたクリアレーダーについて、同社商品開発課の担当者に色々と話を伺った。

従来の透明な消しゴムが抱えていた課題は、消字能力に関する品質向上だったという。5年という歳月をかけ、「透明でも一般的な消しゴムと同等品質のものが完成し、販売に至りました」と話す。開発で苦労した点を訊ねると、「透明かつよく消える材料の配合と、製造方法を確立させるのに苦労しました」との答え。クリアレーダーの優位性については、「今までにない透明な消しゴムが、一般の消しゴムの感覚で使用できる点です。また、消したいところが見えるので、消し間違いがなくなります」という。SNS上でも「紙上での滑りが良くて力が要らないし、消しカスが出にくいので近隣の文字等を巻き込まない」「よく消えるし消しカスも粉っぽくなくていい」、「どこ消してるかわかる」といった数多くのユーザーの声が散見される。

話題性は日本国内だけにとどまらない

クリアレーダー発売後は、さらに話題性に火がついたようだ。発売後の売上状況について訊いてみると、売上金額や数量は未公表とのこと。しかし、「ありがたいことに非常に好評で、たくさんのご注文を頂いております。常に品切れ状態で、販売店様には入荷まで半年ほどお待ちいただいている状態で、とても心苦しいです。たびたびメディアにご紹介頂き、SNSの拡散効果で、多くの方の目に触れる機会があったからかと思っております」と語ってくれた。全国各地で品切れとなったこともあり、レア感を敏感に感じ取ったユーザーが殺到した結果、品切れ状態が続いているようだ。

さらに、発売後はdesignboom magazine米ギズモードなど複数の海外サイトがクリアレーダーを取り上げるなど、話題性は日本国内だけにとどまらない。日本製の文房具は世界的にも評価が高いので、世界展開なども当然視野に入れていることだろう。

クリアレーダーがこれだけのヒット商品になると事前に予想していたのか訊くと、「ある程度は想定しておりましたが、予想以上でした」と話す。嬉しい悲鳴といったところだろうが、安定的に供給できるようになるのはいつごろなのか訊ねてみると、「2020年夏以降になるかと思います。ご注文を頂いた順に順次出荷しております。また弊社は問屋様を介して卸しているため、お取り扱いいただいている販売店様まで詳細には分りません。店頭に並んでからの売れ行きは想定できませんので、なんともいえないのが正直なところです」とのこと。

コラボ商品も企画中?

昨今のヒット商品のお約束と言えばコラボ商品だが、その点について探りをいれてみると、「現在、いろいろと企画中です。楽しみにお待ち下さい」と軽くいなされてしまった。12月12~15日まで開催されていた「文具女子博2019」では、通常の「レーダー」とコラボした靴下が目撃されている。クリアレーダーに関しても、水面下で色々な話が進行中なのは間違いなさそうだ。コラボ商品もまた話題となるのか気になるところである。

少子化やデジタル化が進んでいることもあり、消しゴムに対する需要も「予想よりはゆっくり」とではあるが、確実に縮小傾向にあるという。それでも、2019年はクリアレーダーだけでなく、プラス株式会社の「富士山消しゴム」なども話題となった。「他社様の消しゴム新商品が出る度に、消しゴム業界が盛り上がればと感じております。少し古いですが、カドケシのヒットは“消しゴムは100円でなければならない”という固定概念を覆してくれた商品でした」との言葉には、業界全体で盛り上げていきたいという思いが感じられた。

同社ではクリアレーダー以外にも、消しゴムスタンプ用の消しゴム「ほるナビ」や、定番の「レーダー」シリーズなどのヒット商品を抱えている。最後に、「今回の『クリアレーダー』の好評を皮切りに、レーダーブランドが広くお客様に浸透出来ればと思っております」と話してくれた。