文:藤枝あおい
ある日突然、家に野良犬がいたら、あなたはどうするだろうか。ほとんどの場合、家から追い出すに違いない。
そんな中、心穏やかな生活を手に入れた一匹の野良犬が注目を集めている。
開けっ放しになっていた玄関
今月14日午前4時頃、米国フィラデルフィアのヨキネン家に一匹の野良犬が迷い込んでいた。エミリーさんは、生後1カ月の娘のおしゃぶりを取りに1階に向かった時、その野良犬が部屋の真ん中にいるのを見つけたという。
エミリーさんの夫であるジャックさんはその日の様子を「どのようにたどり着いたのか検討もつかない」とツイートし、戸惑いをのぞかせた。普段すべてのドアと窓を施錠しているという。
後に監視カメラを確認したところ、この日ジャックさんがこの家の飼い犬ジョージを散歩させ帰宅した時、誤って玄関を開けっ放しにしていたことが分かった。そこからこの野良犬が迷い込んだようだ。
新たな家族になったスージー
ヨキネン家に現れた野良犬は栄養失調で、子犬に見間違えるほどにやせ細っている状態だった。獣医へ連れていくと、推定7〜9歳だと判明。身体には多数のダニやノミがたかり、歯や肉球など多数の怪我があることがわかった。
アメリカではペットの保護管理の観点から、個人情報になりうるマイクロチップをペットの身体に埋め込むことが多いが、この野良犬にはそれがなく、出身地や飼い主の情報は得られなかった。しかし、すでにジャックはヨキネン家の新しい家族にしようと決めていた。
この野良犬は「スージー」と名付けられ、2日後ヨキネン家にやってきた。飼い犬のジョージのベッドの一つをスージーに譲り、生後1カ月の娘と仲良く過ごしているという。
2万5000ドルの寄付金が集まる
15日、ジャックさんは3万5000人のフォロワーのいるTwitterで、スージーの世話に必要な資金の寄付を呼びかけた。
このツイートは急速に拡散され、18日の午後には2万5000ドル(約270万円)を超える寄付が集まった。この寄付金はスージーの治療に充てられる他、余った金額は慈善団体に寄付する予定であるという。
新しい居場所を見つけたスージーは、安らかな気持ちで過ごしていることだろう。ヨキネン家で、良い年越しができそうだ。