文:岩見旦
約100年も続いているクリスマスの慈善活動
あなたは「オペレーション・サンタ」を知っているだろうか? アメリカ郵政公社(USPS)が行っている、子どもたちとサンタクロースをつなぐプロジェクトだ。
全米の郵便局には、子どもたちからサンタクロース宛の手紙が毎年何十万通も届く。温かいコートや新しい靴のプレゼントを求めるものだが、中には生活必需品を求める人も。サンタへの手紙は一般の人が見ることができ、個人や団体がサンタクロースの代わりにプレゼントを贈ることが出来るちょっとした慈善活動だ。
約100年もの間、毎年行われてきたこの取り組みが2019年、大きな進化を遂げた。
プライバシー対策も万全
アメリカ郵政公社は先月、ウェブサイト「USPS Operation Santa」を公開した。このサイトでは、経済的に困っている子どもたちからのサンタへの手紙がオンラインで見ることが出来、訪問者は子どもたちにプレゼントを贈ることが出来る。
プレゼントの贈り方は、まずアカウントを作り、スキャンされたサンタクロースへの手紙を見る。カテゴリーは「個人」と「家族」に分かれており、州ごとにフィルターを掛けて検索することも出来る。また、手紙はプライバシー保護の観点から、名字と住所は消されている。
そして、これはと思った手紙を選んだら、その手紙と暗号化された住所ラベルをプリントアウト。プレゼントを購入し、全米1万9000カ所の郵便局で匿名にて郵送するという流れだ。ちなみに、必ずしも記載されているプレゼントのすべてを贈る必要はない。
12月21日までにプレゼントを郵送する必要があり、郵便料金は送付者負担だ。また、このプレゼントは税金控除となっている。
記事執筆時点で、1万2000通以上の手紙が採用され、約2500のお願いが叶えられたという。ハッシュタグ「#USPSOperationSanta」では、全米から喜びの声が寄せられている。ちなみに日本からは参加することは出来ないようだ。
自らのプレゼントにより、どこかで見ず知らずの子どもが喜んでくれる。クリスマスの奇跡をウェブで起こすことが出来るとは、サンタクロースも驚いていることだろう。