文:櫻井哲夫
世界各国で市民権を得つつある同性愛。日本でも同性カップルに2人の関係が婚姻と同等であることを承認する「同性パートナーシップ証明制度」を導入する自治体が増え、徐々に理解が広まっている。
そんな中、同性婚の新たな幸せの形を示した事例が、アメリカで話題になっている。
養子を受け入れた女性カップル
米国マサチューセッツ州に住むケーシー・カリーさんとレナ・カリーさんは、お互い愛し合う女性カップルだ。5年前に結婚し、愛を育んできた。
家庭を築くため子どもを求めていた2人は2017年、養子縁組を支援する非営利団体「チルドレンズ・フレンド」が主催するイベントに参加した。そこで生後18カ月の男の子ジョーイ君と出会った。
ケーシーさんとレナさんはジョーイ君を息子として育てる決意をし、家族として迎え入れることにした。するとその直後、「チルドレンズ・フレンズ」から、ジョーイ君の弟である生後6週間のノア君も家族を探しているとの連絡が入った。ケーシーさんとレナさんは迷うことなく、ノア君も受け入れることにした。
3人目の兄弟も受け入れ
ノア君を受け入れてから1カ月後、さらにジョーイ君とノア君の兄弟であるローガン君も引き取らないかとの電話が舞い込んだ。当時、ローガン君は別の里親の元で育てられる予定だったが、破断になってしまったという。
ケーシーさんとカリーさんは、ローガン君も家族として迎え入れることにした。後の『Good Morning America』の取材で、ケーシーさんは「私たちの直感でした。兄弟が一緒に暮らすことが重要だと思ったので、受け入れることにした」と、その時を振り返る。そして「彼らが年を重ねた時、お互い寄り添って同じ経験をするでしょう」と付け加えた。こうして5人は、家族として生活することになった。
幸せに暮らす5人の家族
先月、マサチューセッツ州の裁判所で、ローガン君とノア君の養子縁組の申請に対し、正式に許可が降りた。「チルドレンズ・フレンズ」の養子縁組ディレクターのベロニカ・リステルドさんは「彼らは素晴らしい家族です。柔軟性に富んでいます。子どもの求めるものや兄弟関係を維持することの重要さ、そしてその長期的な影響を理解しています」と興奮気味に語った。
ケーシーさんとレナさんは今、子どもたちの成長が何よりも楽しみだという。またレナさんは自分たちの経験を知ってもらい、他の家族が養子縁組の検討を促す要素になること望んでいるとも。
家族を持つ夢を叶えるとともに、離れていた兄弟たちを共に暮らせるようにしたケーシーさんとレナさん。これからも幸せに暮らすことを願ってやまない。