文:岩見旦
イタリア・ナポリ出身のルカ・トラパニーズさん(41歳)は、娘のアルバちゃんを育てるシングルファーザーだ。アルバちゃんとの日常を投稿したInstagramは人気を集め、フォロワー数は1万7000人以上にのぼる。
しかし、この幸せな日々を得るために、2人はこれまで幾多の困難を乗り越えてきた。
母親に見放されたダウン症の赤ちゃん
アルバちゃんは2017年、知的な発達に遅れが出るダウン症として生まれてきた。母親に見放されたアルバちゃんは養子に出されることになったが、20世帯以上の家族に断られてきた。そんな時、紹介されたのがルカさんだ。
2017年7月、生後13日目のアルバちゃんに出会ったルカさんは「彼女を最初に抱いた時、私は喜びに満ち溢れました。そして、彼女は私の娘だとすぐに感じました」と『Bored Panda』の取材に当時を振り返る。
今まで生まれたばかりの赤ちゃんを抱いたことがなかったルカさんは、アルバちゃんを初めて抱く時、怖かったという。ただ、「私は彼女の父親になる準備が出来ていることに気づきました」とその時の心情を語った。
そして、「彼女は私に幸せと充足感を与えてくれました。私は彼女の父親であることを誇ります。私は彼女に私の娘になって欲しかった」と述べた。
固定観念を破り、女の子を育てる
『BCC』によると、ルカさんは10代の頃から障害者を支援する団体に参加し、障害者を支援するボランティア活動を行ってきた。2007年には慈善団体を設立するなど、これまで恵まれない人を助けることに人生を捧げてきた。
そんなルカさんは同性愛者だ。25歳の頃、カトリック神学校を出た後、男性と恋に落ちていた。11年間2人は交際し養子を欲しいと考えていたが、数年前2人は別れることになった。ただ、父親になりたいというルカさんの思いは変わることはなかった。
しかし、ルカさんには乗り越えなければならないハードルがあった。イタリアでは、これまで独り身の同性愛者による養子縁組の申請が通ったことはなかった。2017年に初めて申請が通るも、問題を抱えている子どもしか紹介できないと養子縁組機関から言われたという。
さまざまな固定観念を破ったルカさんは、アルバちゃんをブロンドヘアの美しい女の子に育て上げた。Instagramには日々応援の声が寄せられている。障害を乗り越えた2人は、最高の人生を送っているようだ。