文:櫻井哲夫
愛犬家にとって犬との会話は永遠の夢。実現できれば、犬は人間に自らの意思を伝えることができ、人間もそれに答えることができる。
そんな夢のような会話が期待できる動画が公開され、海外で話題になっている。
犬との会話を試みた女性
人間と犬の会話を試みたのは、米国カリフォルニア州在住のクリスティーナ・ハンガーさん(26歳)。
音声言語病理学者として普段小さな子どもたちに装置を使って言葉を教えているハンガーさんは、この技術を犬に応用することを思いついた。そして自身の飼い犬ステラに、生後8週目から人間の言語を教える訓練を開始した。
ハンガーさんは、ステラが意思表示する手段として、サウンドボードを改良。「Good」「Want」などのシールが貼られた多数のボタンが備え付けられており、押すとインプットされた単語が出る仕組みになっている。
ステラは人間の単語を理解しており、シールを見分けて状況に合ったボタンを押すことで、自らの意思を発信することが出来るのだ。
29種類の単語を理解する犬
犬は動物の中でもかなり賢いことで知られているが、幼い頃から言語教育を受けたステラの能力は特に高いという。すでに29種類の単語の意味を理解している上、5個の単語を組み合わせた文章を作成することもできる。
ハンガーさんがInstagramで公開した動画でも、ステラとハンガーさんがサウンドボードを通してしっかりと会話していることがわかる。
ステラのお気に入りは婚約者の男性
そんなステラのお気に入りは、ハンガーさんの婚約者であり同居しているジェイクさん。ある時、ステラが玄関先で鳴いていたため、ステラさんがサウンドボードで意思を確認すると「Want」「Jake」「Come」を立て続けに押したという。つまりステラはジェイクさんに早く返ってきて欲しいと意志表示したのだ。そして、ジェイクさんが帰宅すると、ステラは「Happy」のボタンを押し、喜びを表現したという。
「ステラの言葉の使い方は2歳の子どもによく似ている」と『People』に語ったハンガーさん。「私は常に驚きとショックを受けています」「ステラは日々言うことが素晴らしくなっています」とも。
犬に言語を理解させたことは、音声言語病理学者のハンガーさんだからこそ出来たのであって、一般の人には簡単ではないと思われる。しかしサウンドボードを介しながらも、人間と犬が言葉のキャッチボールができたことは事実だ。遠くない未来に、自由に会話ができる未来が訪れることを期待したい。