文:岩見旦
耐久性や価格の安さなどの面から、私たちの生活の身近な存在であるプラスチック。
人が使用するプラスチックの量は年を追うごとに増加し、全世界で毎年3億トン以上のプラスチックごみが排出されている。海に流出する量も最大推定量は年間 1200 万トンに及ぶという。
プラスチックごみは環境に対する大きな脅威
分解されるまで非常に長い時間が必要なプラスチックごみは、環境に対する大きな脅威となっている。大量のプラスチックごみを飲み込んだクジラが打ち上げられたことも話題に上がった。またプラスチックを体内に取り込んだ魚介類を通じて、人間の健康を脅かすリスクもあるという。
スターバックスが使い捨てストローを2020年までに全廃することが発表されるなど、プラスチックごみへの規制は世界的に強まりつつある。そんな中、タイのスーパーの取り組みが注目を集めている。
アジアに広がる取り組み
タイのチェンマイにあるリンピン・スーパーマーケットでは、プラスチックごみの削減を目指し、商品をバナナの葉で包装するサービスを始めた。
さまざまな野菜を「Pesticide Safe(農薬の安全性)」と書かれたステッカーが貼られたバナナの葉で包み、竹の葉で固定している。バナナの葉は大きく厚く、さらに折りたたんでも裂けない柔軟さを持ち合わせており、ビニール袋の代用にピッタリだ。
タイのスーパーのプラスチックごみ削減を狙ったアイデアがFacebookで注目を集め、ベトナムのハノイ、サイゴン、ホーチミンのスーパーでもこの試みが取り入れられた。ホーチミンにあるロッテ・マーケットの広報担当者は、現在テストで導入しているが、今後全国にこの取り組みを広げていき、近いうちに野菜だけでなく肉もバナナの葉で包んで提供したいと明かした。
量にもよるものの、一般的にタイのようなバナナの生産国では、バナナの葉は無料で簡単に集めることができると海外メディアは伝えている。しかし、他の地域では何かしらの代用品が必要になるかもしれない。日本ではバナナの葉の包装を導入したら、かなりのコストがかかってしまうだろう。日本であれば、スギやヒノキなどの木材を薄く削った経木を使用してはどうだろうか。未来に負の遺産を残さないために、プラスチックごみの削減は急務だ。