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文:岩見旦
東京・池袋で19日、乗用車が暴走し、母子2人が死亡、8人が重軽傷を負う痛ましい事故が起きた。運転していたのは87歳の男性だ。
警察庁によると、昨年1年間に発生した75歳以上のドライバーによる死亡事故は460件で、前年と比べ10.0%増加。死亡事故全体の14.8%に上り、過去最も多い割合だった。この内、事故前に認知機能検査を受けていた414人について判定結果を分析したところ、認知症の恐れがある「第1分類」は20人、認知機能低下の恐れがある「第2分類」は184人で、全体の49.3%を占めた。
高齢者が運転免許の自主返納を選択できる環境づくりが求められる最中、2本のツイートが大きな反響を呼んでいる。将来を見据えた高齢者の準備に、SNS上で舌を巻く人が続出している。
「判断力が残っていたから」
あるTwitterユーザーの祖母は、80歳目前で運転免許を返納した。しかしまだ判断力も衰えておらず、体調も良かったという。これからもドライブができたにも関わらず、なぜ返納したか祖母に尋ねると、「判断力が残っていたから」と答えたとのこと。
これから年を重ねて判断力が鈍ってからは、運転を辞めるという判断が出来ないと考えたのだ。自らを客観的に見て行動に移し、さらにシャレの利いた返答をした祖母。この投稿は10万を超えるリツイートを獲得し、称賛の声が挙がっている。
認知症になる10年以上前から準備
また、あるTwitterユーザーの祖父は現在90歳で認知症を発症しているものの、10年前から準備をしてきたという。
70歳の仕事引退時に正常な判断ができる内にと運転免許を返納。75歳の時、自らGPS付きのキッズ携帯を契約し、首から下げることを習慣付けたという。80歳で、持ち物や衣服などすべてのものに名前を書き始めたとのこと。
その後、祖父は82歳で認知症を発症し、行方をくらましたり、同じ映画を観たりするものの、祖父の世話をしている両親は「多少は大変だけど、おじいちゃん自分で対策してたから、同世代のよその家庭よりかなり楽だと思う」と語っているという。
この投稿も1万4000リツイートを突破し、大きな話題に。祖父の徹底した準備に脱帽した人からのコメントが殺到した。
これから高齢化社会を迎える日本。これから判断力が鈍ることを鑑み、自らを過信しすぎないよう高齢者を諭す啓蒙活動が必要なのかもしれない。