文:岩見旦
政府は今年1月の月例経済報告で、2012年12月から始まった景気回復の期間について、「戦後最長になった可能性がある」と発表。その一方、3月10日発表の共同通信の世論調査では、8割が景気回復の「実感がない」と回答した。
かつては世界2位の経済大国だった日本。果たして現在、アジアの近隣諸国と比べて、どれほど経済的な優位性があるのだろうか。
世界銀行などのデータを元に、YouTubeチャンネル「WawamuStats」が制作したグラフを紹介する。
日本とアジアの近隣諸国のGDPを徹底比較
こちらは1960年から2017年までの58年間、日本と韓国、中国、インドのGDPをグラフで比較した動画だ。
ちなみに、右側のグラフは、上から「1人あたりのGDP(ドル)」「都市人口比(全体の何%か)」「総輸出額(100万ドル)」。下部の数値は「平均寿命」だ。
動画が始まって早々、日本は1961年に中国を追い抜いて、アジアトップに躍り出た。さらに1967年にはイギリスをも超えた。この期間は高度経済成長にあたり、日本のGDPが飛躍的に成長を遂げていることが分かる。
1973年と1979年に起きた二度のオイルショックは日本経済に打撃を与えたが、それでも日本のGDPは常に右肩上がりを続けており、少なくともこのグラフからは大きな影響を見て取れない。
1980年代後半からバブル景気になり、日本のGDPは急上昇。アジアの近隣諸国を大きく引き離した。しかし、その後バブルは弾け、失われた10年に突入。日本のGDPは1995年をピークに急降下することになる。
一方、中国のGDPは1990年代後半からじわじわ成長を続け、2000年代後半に目覚ましい成長を遂げる。2010年に日本のGDPを追い抜き、アジアトップの座に君臨することとなる。日本のGDPは、2012年から再び下降に転じている。
日本のGDPが停滞を続ける中、インドと韓国のGDPはほぼ常に上向きだ。特に韓国の「1人あたりのGDP」は日本に迫る勢いで成長しており、「都市人口比」「平均寿命」に至っては日本と肩を並べる高い水準をキープしている。
これから東京五輪や大阪万博を控える日本。後々振り返った時、「令和好景気」と言われるような時代になってほしい。