CULTURE | 2019/03/18

大人キャラも喫煙NG? 少女マンガ誌でタバコ描写が禁止に。過剰な規制が波紋を呼ぶ

文:岩見旦

『HIGH SCORE』津山ちなみさんのツイートが話題に

集英社が発行する少女マンガ誌『りぼん』...

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文:岩見旦

『HIGH SCORE』津山ちなみさんのツイートが話題に

集英社が発行する少女マンガ誌『りぼん』で連載を持つ、漫画家・津山ちなみさんのツイートが波紋を呼んでいる。

1995年からギャグ漫画『HIGH SCORE』を連載している津山さんは15日、同誌のタバコ描写規制により、作品に登場する34歳のキャラクターに煙管(キセル)を持たせることが出来なくなったと明らかにした。4月3日発売の「5月号」が、煙管の最後の登場となる。

津山さんのツイートによると、3年ほど前に煙管から煙が出ている演出が禁止となったとのこと。津川さん自身はタバコを苦手としながらも、マンガの描写の小道具として重宝していたという。

『りぼん』は少女マンガ誌であるため、「喫煙表現NGは全然あり」と理解を示した津川さん。過去のコミックスについては、修正が入ったり絶版になったり規制は入っていないとのこと。そして、「私は『りぼんっ子が最初に触れる変な漫画』を描く人であり続けたいので、りぼんのルール内で頑張るだけです」と決意を表明し、さらに『りぼん』誌面ではなくコミックスでの煙管の再登板の可能性に言及した。

津山さんの上記のツイートは投稿するやいなや、瞬く間に拡散され1万を超えるリツイートを獲得。「大人のキャラクターへの規制はやりすぎ」「こういう対応って楽な選択をしているとしか思えない」「表現の自由を守るべき立場であるはずの出版社の姿勢に驚き」など、読者から集英社に対し不満の声が広がっている。

「番組テロップなどで謝罪を」喫煙シーンに強い風当たり

近年、タバコの描写への風当たりは非常に厳しくなっている。現在放送中のNHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』では、1910年〜1960年代が舞台であり、時代考証の結果として、喫煙の場面が多く描かれている。

これに対し、公益社団法人 受動喫煙撲滅機構はNHKに抗議を申し立て、「『いだてん』において、受動喫煙のシーンは、今後絶対に出さないでください」「『いだてん』で、受動喫煙場面が放映されたことについて、番組テロップなどで謝罪をしてください」と要求した。

過去に遡ると、宮崎駿監督の作品にもクレームが。2013年公開の長編アニメ映画『風立ちぬ』で、主人公が肺結核の妻の前でタバコを吸うなど喫煙シーンが何回も登場するとして、NPO法人 日本禁煙学会から要望書が提出されている。

2016年には、世界保健機関(WHO)は喫煙シーンのある映画などについて、若者が喫煙を始める危険性があるとして、年齢制限を設けるよう各国に勧告を行った。『ONE PIECE』のアニメがアメリカで放送される際には、咥えタバコがトレードマークのキャラクター、サンジの持っているものがチュッパチャップスに変更されている。

確かに喫煙シーンによる子どもたちへの影響の大きさを出版社、テレビ局、映画会社は重視しなければならない。しかし、タバコは禁止にして、暴力や殺人、イジメは容認というあべこべなことになってはいないだろうか。表現内容をどこまでOKとして、どこからをNGとするか。それらの線引き、バランス調整の見直しが改めて求められている。