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文:岩見旦
神社や寺院で提供される「御朱印」を集めることが、パワースポット巡りの一つとしてブームとなっている。
御朱印を収集する「御朱印ガール」が急増し、文具店では御朱印帳が並ぶなど、御朱印はここ数年で一気に認知度を高めた。
しかしその一方、マナーを逸脱した一部の参拝客によって、弊害も起きているようだ。
白虎隊御朱印、「正直、そこまで言われ続けてまで書く気持ちになれません」
福島県の会津若松市にある飯盛山は、白虎隊が戊辰戦争時に自刃したことでも知られる。ここでは、白虎隊墓守五代目の飯盛尚子さんが、御朱印を書いているが、現在は御朱印帳への記入が停止されている。
その理由が書かれた1枚の張り紙が今、Twitter上で話題となっている。
御朱印を「御客様と会話し丁寧に誠心誠意 そして集中して」書いていた飯盛さん。手を抜かず書いているため、仕上げるのに5分〜7分掛かるという。混み合うため、整理券を配るなど対策を取っていた。
しかし、飯盛さんが御朱印を書いている最中、「段取りが悪い」「遅い」「一人に何分かけてんだ」とクレームを入れる参拝客が出てきたとのこと。
そのため、「逆にお時間をお掛けして不愉快な思いをさせるなら当分直接書かない方がいいと感じました。正直、そこまで言われ続けてまで書く気持ちになれません」と、御朱印帳への記入の停止理由を明かした。
この張り紙は2年ほど前に載せたものであり、その後御朱印帳に記入をしてこなかったという飯盛さん。
3月29日に投稿された上記ツイートは、現在7万を超えるリツイートを獲得。「御朱印を書いてもらう資格が無い」「そんな時間も待てないのか」「良くも悪くもブームってこういうもの」など怒りの声が寄せられている。
以前はネットオークション転売も。求められる御朱印集めのマナー
実は飯盛山では御朱印を巡って、参拝客のマナー悪化が度々問題になっている。2016年には、御朱印がネットオークションに出品されたことを受け、「御朱印は、スタンプラリーでも記念スタンプでも第三者の儲けの為の道具では御座いません」とし、御朱印の販売を停止していた。非常にバチあたりな行為と言わざる得ない。
飯盛山では3カ所で御朱印を発行しており、飯盛さんによる「正式な白虎隊御朱印」以外の、さざえ堂前の「白虎隊十九士の霊像御朱印」と、飯盛山スロープコンベアの「参拝記念の御朱印」では、引き続き御朱印を発行している。
また、元号の変わる4月30日と5月1日のみ、飯盛さん直筆の御朱印が授与される。予約制となっており、すでに受付は終了している。
御朱印は本来、納経した証としてもらうものだ。御朱印を集めること自体が目的化していないだろうか。御朱印集めに勤しんでいる方は、本来の意味を改めて考え、マナーを守りながら楽しんでいただきたい。