文:岩見旦
https://thispersondoesnotexist.com/
こちらのウェブサイトをクリックしてもらいたい。ある人の顔写真が出てくる。
更新するたびに、異なる人の顔写真が次々と表示される。
実は、これらの人には共通点がある。この世界に実在していない人なのである。
この世界に存在しない人の画像を次々作れる!
このサイトは「This Person Does Not Exist(この人は存在しない)」。AIが実在しない人の顔写真を生成するサイトだ。人の顔をゼロから描こうとしたら、高度な知識と技術が求められるが、このサイトならワンクリックするだけ。
ほとんどの場合、実在の人物と見紛うほどリアルな人の写真が現れるが、耳や首元などアクセサリーをするところには不自然な歪みが出やすいようだ。上記の写真は喉元に歪みが見られる。
Uberのエンジニアがディープラーニング技術を応用!
このサイトを製作したのはUberでエンジニアとして働くPhillip Wang氏。NVIDIAの研究チームが発表し、オープンソースで実装を公開した敵対的生成ネットワーク(GAN)という技術をベースに顔写真を生成している。
この技術は、生成ネットワークと識別ネットワークの2つのディープラーニングモデルを競わせることが特徴。「精度の高い偽の画像を作り出す力」と「偽の画像を本物かどうか見分ける力」、この相反した目的のネットワークがそれぞれ学習を行い、精度を高めていくことで、まるで本物のようなレベルの画像を作り出すまでに成長させる。
このサイトを製作した目的について、Wang氏は「私は自腹を切って、この技術を世間に知らしめたい」とFacebookに投稿している。
SNSでは、この技術を称賛する声が上がり盛り上がる一方、生成された少女の人権や偽のユーザーレビューを危惧する意見も寄せられた。
創造という分野にまで足を踏み入れたAI。今後どんなクリエイティブを発信するのか、目が離せない。