文:岩見旦
コカインを使用したとして、ミュージシャンのピエール瀧容疑者が12日夜、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された。有名芸能人の薬物による逮捕ということもあり、朝からマスメディアによる報道がエスカレートしている。
しかし、その中には薬物依存への偏見や誤解を助長させているものも少なくない。さらには、違法薬物への興味を煽ることになっているものもある。
市民グループが「薬物報道ガイドライン」を発表
薬物報道に関する問題意識から2017年、市民団体や研究者などに結成された「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」が「薬物報道ガイドライン」を発表した。このガイドラインは評論家の荻上チキさんと議論を重ね、WHOの「自殺報道ガイドライン」を参考に制作された。
ガイドラインには「望ましいこと」として8項目、「避けるべきこと」として9項目が挙げられている。「『白い粉』や『注射器』といったイメージカットを用いないこと」と、薬物報道で定番のイメージカットも避けるべきとしている。
同ネットワーク発起人の国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦さんは、TBSラジオ「Session-22」で、このイメージカットについて「依存症の人はそれを目にすると、欲求を刺激される。だから、著名人が逮捕されて報道が激化するたびに、患者さんたちが再び薬物を使用してしまうことが続発している。回復しようと頑張っている人の足を、報道が引っ張っているのではないか」と語っている。
「薬物報道ガイドライン」の全文はこちら
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また本日、荻上チキさんは「さらに付言するとしたら」として、下記の3項目をツイートしている。
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「薬物報道ガイドライン」を守らないワイドショー
今回のピエール瀧容疑者の逮捕を受けて、日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」、TBS「ひるおび」、フジテレビ「バイキング」、テレビ朝日「ワイド!スクランブル」といったワイドショーの報道を筆者はチェックした。しかし、このガイドラインは守られていない。
マスコミによるセンセーショナルな薬物報道を、私たちは監視していかなければならない。一方、私たちもTwitterやFacebookなど、薬物依存で苦しんでいる人も目にするツールを持っている。SNSに薬物に関する投稿をする際は、このガイドラインを頭の片隅に置いておいてほしい。