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文:岩見旦
日本人が英語を習得する上で、大きなハードルとなるのが発音。日本語には無い母音や子音のある英語の発音に苦手意識を持っている日本人は多いのではないだろうか。
特に「Thankの“TH”」といった舌先と上の歯の間に空気を通す発音は日本語にはなく、“S”の音に置き換えるケースが多くある。
そんな英語の発音に関する、言語学者の驚くべきレポートが話題となっている。なんと2066年までに“TH”の音が無くなるというのだ。
このレポートを報じた英テレグラム紙によると、ニューヨーク大学の専門家たちは数十年の間に、移民の流入により英語は根本的に変わると予測しているという。移民にとって発音の難しい“TH”の音が、“F”、“D”、“V”の音に変化するとのこと。
実際、イギリス南東部で広く使われてきた河口域英語は、すでにカリブや西アフリカ、アジア系の影響を受けた多文化ロンドン英語(MLE)に取って代わられようしている。
社会言語学者のドミニク・ワット博士は「現代英語と中世英語のように、英語が大きく変わると見込んでいる。最も大きな変化は、単語の音の構造が単純化し、単語自体は短くなるだろう」と語った。
ハワイ在住の英語講師・澤亜澄氏はこのニュースを紹介し、すでにアメリカ人でも“TH”の音を “F”の音で代用している子どもたちが多いと指摘。このツイートは約1万件のリツイートを獲得し、「東海岸もThis はNisに置き換えられている」「アイルランドでTHのHを抜くか、Dになっている」「THはアメリカに残っているという状況」など、多くの反響が寄せられた。
また、このレポートによると、2066年までに“U”の音は“OO”の音へ変わり、“cute”は“coot”と発音するようになると予想。“W”の音と“R”の音といった似た音は一つになり、“wed”“と”red“は区別がつかなくなるという。
いわば常套句であるが、言葉は生き物だ。多くの人にとって発音しやすい言語となるのは、誤用ではなく進化と言えるかもしれない。英語がまた一つ世界語として発展している証左ではないだろうか。