Photo By Shino Naoya(rol co .,ltd.)
文:岩見旦
介護業界に一石を投じるクラウドファンディングが実施中
全国のおばあちゃんをドキドキさせる「介護男児」フォトブックの制作のクラウドファンディングがCAMPFIREで進行中だ。1月4日からスタートしたこのプロジェクトは、開始から1週間で86万6,000円を集め、話題となっている。
このプロジェクトを立ち上げたのは、18年間介護職に携わってきた若山克彦氏。自身がモデルを務める写真に、介護現場で感じてきた想いをエッセーとして綴り、1冊のフォトブックとして自費出版することを目指している。
サンプル画像には、田舎町の橋の上に佇む爽やかな写真に「おばあちゃんの家の匂いが好き」、スーツ姿でスマホを見つめるダンディーな写真に「小さい文字が見えにくい 僕も一緒だよ」と、おばあちゃんに向けたメッセージが添えられている。
中には肌を露わにしたかなりセクシーな写真もあり、「全国のおばあちゃんたちをときめかせたい」と若山さん。フォトブックはA4サイズで64ページ。ネガティブなイメージが蔓延する介護業界に一石を投じたいとしている。
クラウドファンディング、成功の秘訣はSNSの活用
若山氏は25歳のときヘルパーとしてスタートし、介護福祉士、ケアマネージャーなどとしてキャリアを重ねた。6年前にデイサービスで起業するも、2018年に倒産。無職になった若山氏が失意の中出会ったのが、フォトグラファーの志甫直哉氏だ。
モデルの依頼をされた若山氏は、その時撮影した写真をデイサービスのおばあちゃんたちに見せたところ、予想外に喜んでくれたという。そのことをきっかけに若山氏は、支えてくれたおばあちゃんたちに恩返しするため、今回のチャレンジを決心した。
目標金額は100万円。リターンは1,000円〜10万円。サイン本の送付や、若山氏による研修など、多彩なメニューが用意されている。
今回、同氏にメールインタビューをしたところ、クラウドファンディングでのスタートダッシュに成功した要因として「SNSの活用」を挙げた。プロジェクト公開の2カ月前から情報を小出しにし、多くの人の興味を惹きつけたという。また、SNSと同時に介護関係の交流会や研修会など、リアルの場においても直接PR。発信力のある推薦者の応援も、成功の要因のひとつだったとする。
介護現場で働く若山氏
介護職のネガティブなイメージを逆転させるメッセージ
若山氏は介護職を「人生を学べて成長出来る、究極のコミュニケーションの仕事」と話す。決して楽ではないとしつつも、その魅力を「おじいちゃん、おばあちゃんと話すと、めちゃくちゃ面白い」と言い切る。
介護職は超高齢化社会へ突入する日本において、今後伸びていく成長産業と言われている。若山氏の放つメッセージは斬新かつ新鮮で、介護職のネガティブなイメージを一新する可能性を秘めているかもしれない。