禅文化を世界に発信する、民間主催の国際カンファレンス「ZEN2.0」が、9月8日、9日の両日に鎌倉・建長寺で行われた。住職をはじめ、テック系企業の経営者や政治家、インフルエンサーといった各界のスペシャリストが登壇することでも話題になっている。
先日記事を掲載したゲームAI開発者・三宅陽一郎氏の講演に引き続き、同イベントで登壇したスペシャリストの中から今回紹介するのは、元陸上選手の為末大氏とA.T.カーニー日本法人代表で、「COOL JAPAN」(クリエイティブ産業の海外展開を支援する取り組み)の立役者の1人でもある梅澤高明氏。
為末氏は、過去オリンピックに3回出場し、世界陸上競技選手権では2度メダルを獲得。400mハードルの日本記録保持者であり、今もその記録は破られていない。輝かしい実績の裏で、禅をひとつの手掛かりとして、自身の肉体や精神を極限まで見つめてきたという。
瞑想の実践者である梅澤氏との対談の中で、禅とスポーツについて、ビジネス視点で語られた講演から抜粋して紹介したい。
近年は、アスリートによる社会課題の解決やスポーツ分野でのイノベーションを創出するプロジェクトにも注力する為末氏。“走る哲学者”の異名をとる為末氏が、大きなプレッシャーの中で切り拓いてきた自己、そして未来とは?また、ビジネスパーソンが仕事で「発揮率」を高められるヒントとは?
文・構成:庄司真美 写真:松島徹
為末大
株式会社Deportare Partners代表
1978年広島県生まれ。陸上スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。3度のオリンピックに出場。男子400mハードルの日本記録保持者(2018年10月現在)。現在は、Sports×Technologyに関するプロジェクトを行う株式会社Deportare Partnersの代表を務める。新豊洲Brilliaランニングスタジアム館長。おもな著作に『走る哲学』、『諦める力』などがある。
梅澤高明
A.T.カーニー日本法人会長
東京大学法学部卒業後、日産自動車へ入社。MITスローン経営大学院の修士課程を修了し、A.T.カーニーのニューヨーク・オフィスに入社。日米の大企業に対して、戦略・マーケティング・イノベーション・組織関連のコンサルティングを実施。クールジャパン機構社外取締役、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」レギュラーコメンテーター。主な著書に『NEXTOKYO』、『グローバルエリートの仕事作法』、『最強のシナリオプランニング』などがある。
いざというときの「発揮率」は生涯変化しにくい?
写真左から:モデレーター/一般社団法人ZEN2.0代表理事の宍戸幹央氏、為末大氏、梅澤高明氏。
パネルディスカッションのモデレーターを務めたのは、一般社団法人Zen2.0代表理事の宍戸幹央氏。「ZEN2.0」で為末氏の単独講演で話された内容をもとに、スポーツ選手における「発揮率」が最初の話題に挙げられた。
梅澤:オリンピックでメダルをとれる選手は、身体能力が高いことに加えて、心をきちんとコントロールできる強い精神の持ち主だと思いますが、どうすれば本番での「発揮率」が上がるのですか?
為末:「発揮率」は、生涯にわたって変化しにくいというのが、僕の印象です。それから、発揮率が高い状態というのはひとつのパターンではないような気がしています。と言いますのも、選手によっては日常の道具を会場まで持ち込み平常心を保とうとする人もいれば、逆に、ここは特別な場所だと考えて最後にパフォーマンスを最大化する選手もいるのです。よくある失敗例は、うまくやろうとして失敗するパターン。それで失敗するぐらいなら、いつもどおりやって100点を出したほうがいいと思います。
梅澤:本番で特別な力を発揮できない人は、やはり大会で記録を出せないものですか?
為末:シーズンベストで走ればメダルを獲れるレベルの選手が10人いても、実際にシーズンベストを出してメダルを獲るのは1人。それぐらい本番で力を出すのは難しいのです。稀に本番だけ力を発揮できるパターンもあれば、トントン拍子でうまくいっていたのに、ある試合でうまくいかなかった失敗の記憶が邪魔をするパターンもあるのです。経験値が上がれば上がるほど、記憶が蓄積されてしまうというトラップもあります。
ポジティブな人は選手、ネガティブな人はコーチ向き
梅澤:スポーツを始めるときは誰しも練習で動きを反復して、自分の型を作り、次のフェイズに進むために、それをもう1度壊して、型を作り直すと為末さんはおっしゃいましたが、記憶が蓄積されると壊すのも難しくなるという話なのでしょうか?
為末:はい。良い記憶だけを残して、悪かった記憶をなかったことにして真っ白になるのは大人になると難しいですよね。起きた出来事をどのように記憶するかも人によって違いがあると思うんです。たとえば試合に負けたときに、「あのプレーはダメだった」とネガティブに捉える人、「あれはよかった」とポジティブに捉える人がいて、それぞれの記憶がその人に影響を与えていくんだと思います。
梅澤:そういう考え方の違いで選手のプレースタイルに違いは出てきますか?
為末:ネガティブな人は指導者向きと言えます。指導者はあらゆるネガティブ要素を事前に拾えて対策をとれる人が向いていて、逆に選手は楽観的な方が向いています。楽観的な選手が指導者になると、詰めが甘くて弱いチームになりがちです。スポーツ業界で「名選手は名指導者にならず」と言われる所以ですね。
梅澤:為末さん自身はどちらだと認識していますか?
為末:僕はネガティブ派です(笑)。現役時代、僕はコーチをつけなかったこともあり、自分自身のコーチの色が強い選手でした。今日は何にも考えずにグラウンドを思いきり走る日、あれこれ考えて詰める日というのを分けていて、今思えば、選手の日とコーチの日というふうに役割を分けていたんだと思います。その役割を混在させないようにしていたのですが、これは非常に重要で、両方がくっついてしまうと、「頭でっかちで全然記録が伸びない」とか、「戦略なく全力でやることしか考えていない」ということになってしまうのです。
梅澤:結局、ボールが飛んでくるというインプットから、身体がバットを振るというアウトプットへの反応速度をどれだけ高められるか?という話ですよね。
為末:そうですね。工学系のロボット選手権を見たときに、それと似ているなと思いました。僕が見た競技は、事前にロボットに動きをプログラミングしておいて、当日はロボットのスイッチを押すのみ。陸上もそれと似ていて、日頃のトレーニングでシミュレーションを完了させて、当日、自分の身体に主導権を受け渡し、あとは身体が勝手に動いてくれる感覚です。
物事を俯瞰しながら直感力を鍛えるには?
現役時代から心身を整えるために禅に興味を持つ為末氏と30年間・毎日40分間の瞑想を実践している梅澤氏。その効果についてどのような実感があるのか、モデレーターの宍戸氏から質問が提示された。
梅澤:僕の場合、瞑想するのは心に直接働きかけるというよりは、まず身体の状態を整えている感覚が強くあります。身体が整うことで、自然に心もクリアになるイメージです。ちなみに、僕は為末さんほど物事を分析的に見て生きているわけではないなと思います。かなり直感的に物事を判断しているケースが多いです。
為末:「直感ではなく頭で考えろ」と言われるように、直感は悪いこととされる向きもありますが、直感の方が正しいことが多いと感じています。梅澤さんは、瞑想による直感への影響はどのように捉えていますか?
梅澤:今の私には、直感は大事な武器です。経営コンサルタントは、物事を分解し、あらゆるデータを分析して結論を導く、いわゆる左脳的な仕事と思われていることが多いです。でも、ある時期から、分析や論理などを司る左脳しか使っていないと、出せる価値には限界があると気づいたんです。と言うのは、私たちが対峙する経営者は、データが揃って分析が完了するまで意思決定を待てるわけではなく、右脳的に直感も駆使して決めないといけない仕事だからです。
だからこそ、経営者と1対1で向き合って、今後10年間で向かう方向を決め、遠い将来のゴールを定めるような場面では、左脳しか使っていないコンサルタントでは太刀打ちできません。現実世界では、すべての事象についてデータが存在するわけではなく、あいまいな情報しかない中でも仮説を作って前に進まないといけません。そんな状況では、右脳も左脳もフル回転させる必要があります。言い換えると、直感的に物事を俯瞰して全体像を理解しつつ、仮説の重要な部分についてはデータと分析を駆使して決定の精度を上げるという組み合わせが必要です。実感としては、分析脳の方がトレーニングしやすいです。逆に鍛えるのが難しいのは、物事を俯瞰する直感力。それをいかに鍛えるかということが、僕の長年のテーマです。
為末:仕事上で、俯瞰で物事を捉える力や直感力を鍛えるのに瞑想は寄与していますか?
梅澤:寄与しているだろうとは思っていますが、証拠はありません(笑)。だって瞑想を30年間してきた自分としてこなかった自分は比較できませんから。ただ、直感に従って仮説を作り、それでお客さんやチームを引っ張ることで、新しい何かを生み出すプロジェクトは実際多いです。為末さんは、直感を意識的に利用していますか?
為末:僕が現役時代、100mを10秒切って走れたのは、世界で30数名しかいませんでした。9.8秒台となるとその半分。データを取ろうと思っても、統計的にn数が少なすぎてなかなかその違いを測定できないわけです。分析した結果、あまり違いがなかったので、最終的に身体を調和させる力がいかに違うかというところに着地しました。つまり、身体のあらゆる個別のものを調和する能力がいかに高いかということですね。確固たるデータがない前人未到の世界では、おそらく自分の中の直感や仮説が次の鍵になるんじゃないかということは感じています。
梅澤:現役時代の後半の数年間は、為末さんも「調和」を実践していたということですよね?
為末:おっしゃるとおり、僕に足りないパーツを埋めて理想を追求するよりも、その場対応ではあるけど、全体のバランスを見るようになりました。左のアキレス腱を傷めたことがあったんですが、患部を冷やすなどいろいろやってみたけど治らなくて。ある時、コーナーを走る自分のビデオを見ていたら、自分の右肩が回っているのに気づきました。それによって左の腰もローテーションし、膝がねじれて、最終的に左足首に負担がかかることがわかりました。そこで、右肩の動きを止めたら、アキレス腱の痛みがおさまったのです。どこかをいじれば全体がうごめいてくるので、個別を改善しようとする時、常に全体の調整を俯瞰で眺める必要があるのです。
梅澤:身体は複雑系だから、ひとつ乱れると全部のバランスが崩れていくので、いかに調和させるかが大事だということですね。
為末:はじめは、どこをいじれば変わるかということが簡単に分かると思っていたのですが、それは僕の傲慢でした(笑)。右肩の動きを止めたら左のアキレス腱の痛みがなくなりましたが、今後は右のアキレス腱が痛くなるかもしれません。だから、自分の身体がどう変化するかを観察し、予測しながら行き着きました。いじりすぎると今自分がどの位置にいるのかわからなくなるので、自分のゼロ・ポジションを見つけるために瞑想に興味を持つようになりました。
梅澤:瞑想は極めて複雑系である心や身体を同時に解きほぐすというのは、僕の実感です。朝晩20分間ずつ瞑想を実践していますが、瞑想した後は、いつもストレスがリセットされた感覚になります。すると、あらゆるアンバランスさが改善された気がするのです。それから、瞑想を始めてから、とても疲れに敏感になりました。心身に蓄積されたストレスに対するセンサーが鋭敏になったということだと思います。
チームで仕事すれば、想像を超えたブレイクが来る瞬間がある
ここで、現在はスポーツを基軸にあらゆる価値を創造するビジネスに取り組む為末氏に、モデレーターの宍戸氏からスポーツとビジネスの違いについて問われた。
為末:ビジネスパーソンとして成功しやすいのは、アメフトやラグビー選手。陸上に関して言えば、その逆です(笑)。なぜだろうと思って分析してみると、陸上は極めて自己完結的であり、理想主義的だからです。陸上選手が引退後にビジネス界に入ると、すべての仕事を自分でやろうとする“抱え込み型”の部下になります。さらに、妥協を知らずにこだわって、締め切りを無視して理想を追求してしまうという最悪のマネージャーになってしまうのです(笑)。僕のまわりの統計値ですが。
実社会は、現実主義です。仕事は自分だけで完結せず、みんなで共有したり分業したりするものです。スポーツは、試合の結果がはっきりしているので分析は容易ですが、ビジネスの世界は責任の所在が無いこともある。そこがスポーツとビジネスの一番違う点だと思っています。
梅澤:確かに、A社の業績が上がったとして、その要因は事業環境が良かったのか、戦略が正しかったのか、あるいは競合の失敗があったのか、さまざまな解釈が可能ですね。そんな複雑系のビジネスを100%正確に分析することは不可能です。一方で、チームで仕事をするからこそ、想像を超える側面もあると思っています。僕は大昔、ロックバンドの活動に打ち込んで音楽で食っていくことを考えた時期もあったのですが、経営コンサルタントの仕事はバンドに近いなと思うことがあるんですよ。分かりやすく言うと、バンドのパフォーマンスは各メンバーの「1+1+1+1」が4ではなく、10になる瞬間があるのです。そのような非連続なジャンプはビジネスでも起こります。特に自分と異なる能力を持つ複数のメンバーと丁々発止やり合っている時に、想像を超える飛躍が起こりやすい。自分1人では絶対できなかったことを楽しむという仕事の仕方も間違いなくあります。
ある時期までは僕も、自分ですべてをコントロールしないと気が済まないタイプで、なんでも自分で巻き取ってしまう最悪なプロジェクトリーダーでした(笑)。でも最近は、人に任せるというより、コラボレーションする相手を色々と探すようになりました。「この人と仕事すると何か面白いことが起きる」と思う同僚や部下にいろんなボールを投げ、何が返ってくるか、というキャッチボールを楽しめるようになったのです。
為末:ハンマー投げの室伏さんが昔、「なにをやればどこがどのぐらい筋肉痛になるか予想できるようになった。だからここから先、僕はどうやって強くなればいいんだろう」と興味深いことを言っていて、ハンマーをベンチプレスの両側に下げてトレーニングするようになったんです(笑)。すると、ハンマーの振り子の要領で、ほとんど予想のつかない動きになるんですよ。自分の殻を破る術がわからなくなったからそんな処方をしたそうなのですが、梅澤さんの話は、それとちょっと似ているなと思いました。
梅澤:かなり次元が違う話ですけどね(笑)。
為末:計画通りにやるということは、自分の予想通りの範疇でしか成長できないということですもんね(笑)。
ビジネスやスポーツにおける「発揮率」は瞑想で高められる?
後半、会場からは「瞑想することで、ビジネスやスポーツの世界で“発揮率”を高めることはできますか?」という質問が。その問いに対し、両者は次のように答えた。
為末:「発揮率」は瞑想によって動く可能性があると考えています。ここで理解するべきは、自分の力を発揮するのをもっとも邪魔しているのは“自分自身”であるということです。陸上競技においては、何を結果とするかにもよりますが、自滅以外の敗因はないと言われています。だからこそ大事なのは、いかに自分自身に気づけるかということ。自分の特徴を探り、試行錯誤しているうちは、発揮率は高まらないと実感しています。重要なことは、他人と自分のやり方は異なるので、自分に合ったやり方を見つけること。それさえ見つかれば、すべての人の発揮率が高まると僕は考えています。一度も内観せず、自分にふさわしいやり方に気づかず、ずっと外界ばかりを見ている選手は案外多いのです。そのための手段として、瞑想は有効だと考えています。
梅澤:私も瞑想は仕事でのパフォーマンスを上げる効果があると感じています。瞑想を続けることで、自分の能力がマックス100だとしたら、90から95はコンスタントに出せていて、自滅してそれが50になることはほぼありません。毎日40分間の瞑想はそれなりの投資ですが、心身の健康を保つのに大事なツールですし、やらないよりやった方がいいという確信があります。ビジネスパーソンは長距離走だからこそ、無理を続けて倒れるような働き方ではなく、バランスをとりながらサステイナブルに仕事や人生を続けることが大事。そのために必要なツールという認識です。
さらに会場からは、「瞑想によって、ビジネスパーソンやアスリートは感情をどのようにコントロールしているか?」という質問が発せられた。それに対し、両者は次のように見解を述べた。
為末:一番良くないのは、感情が立ち起こらないように抑えることだと思います。人は怒るし、泣くし、時には調子に乗ってしまう生き物です。今怒っていたとしても、10分後もそうとは限りません。感情は流れているのです。僕にとって瞑想は、川が流れるイメージ。川全体があって、その一部分を僕に置き換えるイメージです。最初は川の水が豊かだけど、人生が死に向かって進むにつれ、満潮だった頃の自分を眺めるような生き方もあれば、今日流れている水でどうしようかという生き方もあります。
僕は早熟な選手だったがゆえに、26歳でマスコミからベテラン扱いされていました。確かに、その年齢以降、現役生活の終盤にかけて下り坂になっていくのですが、全盛期にできていたことを考えても仕方ないので、昨日今日一生懸命やってできたことに、自分でOKを出すようにしていました。自分ができないことを責める選手は多くいますが、100%を目指していたものを80%に置き換えて、できた自分を褒め直さないと長く競技を続けることは難しいのです。
感情は流れていく一方で、とても強いものでもあるので、「怒り」をさらっと流しても、時に溜まっていくものもあります。そうやって怒りを溜めるぐらいなら、自分の許容度を察知して思い切り爆発させておくことも重要です。
梅澤:僕の場合、ネガティブな感情は瞑想で逃がしている気がします。ネガティブな感情を残したまま仕事の意思決定をしても、ロクなことにはなりません。また、瞑想をすると感覚は明らかに鋭敏になって、それが直感を研ぎ澄ませるベースになっていると感じます。
また、会場のビジネスパーソンからは、「仕事で何かアウトプットする時に、つい自分の経験からパターン化された落としどころを見出してしまいがちですが、本当のイノベーションを起こすには何が必要か?」という興味深い質問も寄せられた。それに対し、梅澤氏が示した的確な答えを最後のまとめとしたい。
梅澤:同じ環境、同じチームだとイノベーションは起きにくいので、落としどころを超える手段の第一歩としては、環境やチームを変えるのがてっとり早いです。社内でやってみて変わりばえしないなら、社外の人と協働してみるなど、新しい試みが必要です。それから、これからの価値の作り方としては、ビジネスコンサルタントの山口周さんの本『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~』(光文社)が参考になります。同書で山口さんは、経営者の判断の根っこには「真善美」の基準が必要で、それらを外部に求めるのではなく、自分の中に持たなければならないと言っています。落としどころを求めること自体、会社や自分のボスに依存する環境依存的な話なのです。結局、自分の中に真善美を持っている人は、会社の常識や社会の常識を軽々と超えて、新しいものを作り出せる人なのだと思います。
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極限まで自分の可能性を突き詰めてきた為末大氏の話から、ビジネスにも通じる話がたくさん飛び出した今回のパネルディスカッション。心身を鍛え、調整するために禅を取り入れてきた為末氏、梅澤氏の両者が、現在、ビジネスで高いパフォーマンスを発揮していることを思うと、それが必然のように思える。
「分析力」だけでなく、先々の目標を想像する「直感力」で全体を俯瞰し、未来の方向を定めていくための「直感力」を自ら磨く術を持つことが、現代人にはもっとも必要なことなのかもしれない。