Image by Apple
スマートフォンの普及が急速に進んだことで、ユーザーを狙った迷惑行為や犯罪が頻発するようになってきた。悪意ある者に狙われやすい、無防備な設定のままスマートフォンを使用している人が少なくないため、いまも被害は拡大傾向にある。そこで、ここでは日本で最もシェアの高いiPhoneのユーザー向けに、最近被害が増えている「AirDrop痴漢」や、iPhoneを落としたり盗まれた際に情報盗難を防ぐための設定について紹介していこう。
伊藤僑
Free-lance Writer / Editor
IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。
iPhoneユーザーを悩ませるAirDrop痴漢
近ごろiPhoneユーザーを悩ませているのが「AirDrop痴漢」だ。
AirDropとは、近くにあるiPhoneやiPad、MacなどのApple製デバイス同士が、簡単な操作で写真やビデオ、書類などのデータを共有できる便利な機能のこと。AirDrop痴漢は、この機能を悪用して、卑猥な画像などを近くにいるユーザーに勝手に送りつける迷惑行為を指す。
送信者が誰であるかを分からなくするために、混雑した電車内や駅前の待ち合わせ場所などで実行されることが多い。そのため、被害を被るデバイスは、同環境下で利用頻度の高いiPhoneが大半を占める。
AirDropで写真が送りつけられてくると、以下の(写真1)のような画面表示になる。この画面で「辞退」を選べばiPhone内に写真が保存されないが、送られてきた写真自体は小さめではあるが表示されてしまうので、見たくもないものを目にしてしまうことになる。
悪意ある送信者は、その写真を目にした受信者の反応を見て楽しんでいるとみられる。
左から、写真1、写真2、写真3、写真4(Image by Apple)。
AirDrop痴漢の被害を受けないための対策とは?
AirDrop痴漢が横行する要因の1つと考えられるのは、AirDropの受信設定を「すべての人」にしているユーザーが多いことだ。
受信設定を「すべての人」にしてあると、悪意ある送信者の画面には、上記の(写真2)のように近くにいるAirDropユーザーの1人として表示されてしまう。送りたい相手が表示されていれば、送信者がすべき操作は、送る写真を選択し、送りつける相手を選択するだけだ。
悪意ある送信者から勝手に写真を送りつけられないためには、AirDropの受信オプション(写真3、写真4)で、受信を連絡先に登録されている人だけに限定する「連絡先のみ」か「受信しない」に設定する必要がある。
もう1つ、気を付けたいのがiPhoneの名前だ。
本名を使っている場合には、性別が分かってしまうのでAirDrop痴漢の標的になりやすい。できればニックネームなどに変更しておこう。
また、本名を知られてしまうと、同時にSNSで「いま、○○さんと○○駅で待ち合わせ中」などと投稿していた場合には、それぞれの情報を関連づけて本人(のアカウント)を特定されてしまう恐れもあるので注意したい。
iPhoneの名前を変更するには、ホーム画面から「設定」>「一般」>「情報」>「名前」を選択すると、「○○のiPhone」とデバイス名が表示されるので、これを読んだら今すぐ変更しておこう。
iPhoneを落としたり盗まれた時に情報盗難を防ぐ
また、iPhoneを落としたり盗まれた際に情報盗難を防ぐための設定も行っておきたい。大切なのは、「iPhoneを探す」を有効にしておくことだ。
ホーム画面から「設定」>「ユーザー名」>「iCloud」の順に選択し、iCloudを使用しているAPPが表示されたら、下にスクロールして「iPhoneを探す」を選択。表示された「iPhoneを探す」と「最後の位置情報を送信」をオンにする。
これで「iPhoneを探す」アプリを使って、自分のiPhoneの位置情報を調べたり、iPhoneの場所を探すために音を鳴らしたりすることができるようになる。
iPhoneをどこかで紛失したり、盗まれた場合には、「iPhoneを探す」アプリから「紛失モード」にしてiPhoneをロック。悪意ある人の手に渡って情報を盗まれるのが心配な場合は、遠隔からiPhone内の情報を消去することもできる。
リモート消去(上)と紛失モード(下)Image by Apple。
スマホを落として個人情報を盗まれ、ひどい目に遭うという映画が話題になっているが、決してドラマの中だけの他人事ではないので、しっかり対策を行っておきたい。