誰もが日本代表の勝利を予想しなかったコロンビア戦。現地では大変な盛り上がりだった。
筆者はこれまでにサッカーの試合は観たことがあったものの、日本代表戦は初体験。去年の年末、たまたま仲の良い熱狂的サポーターから誘われ「そんなに面白いなら一度観に行ってみよう」と思って前日にモスクワ入りしたのだが、初の観戦で歴史的な試合を目撃できるとは思っていなかった。
モスクワではクレムリンのある中心地の「赤の広場」では盛大にファンフェスタが行われている。様々な国の人々が交流し、本当に世界が一つになったような素晴らしい光景だった。
高見沢徳明
株式会社フレンバシーCTO
大学卒業後金融SEとして9年間勤めたあと、2005年にサイバーエージェントに入社。アメーバ事業部でエンジニアとして複数の案件に従事した後、ウエディングパークへ出向。システム部門のリーダとなりサイトリニューアル、海外ウエディングサイトの立ち上げ、Yahoo!などのアライアンスを担当。その後2012年SXSWに個人で参加。また複数のスタートアップ立ち上げにも参画し、2016年よりフリーランスとなる。現在は株式会社フレンバシーにてベジフードレストランガイドVegewel(ベジウェル)の開発担当。
スタジアムまでの深夜列車で国際交流
ポクロフスクキー聖堂前では様々な国の人が集う。サポーター同士の交流も活発だ。
赤の広場で仮装したサポーターと記念写真
モスクワからは長距離の深夜鉄道で10時間かけてスタジアムのあるサランスクへと向かった。チケット購入者はFIFAが用意する無料の深夜列車に乗ることができ、多くのサポーターが利用していたが、予約は先着順のため満席となっていたため、筆者は有料の列車を利用した。長距離鉄道内では呉越同舟。コロンビアサポーターもたくさんおり、気軽に話しかけてくれる。
サランスク行きの寝台列車にて
どこをとっても美しい景色のスタジアム周辺
さてサランスクに到着。駅から試合会場となるモルドヴィアアリーナスタジアムまでは交通機関はなく、徒歩で30分ほどの距離にある。街は閑散としており、普段は人口の少ない閑静な田舎町のようだ。風景はどこをとっても美しかった。
ここサランスクはモルドヴィア共和国の首都であり、人口はおよそ30万人ほどの街である。街のどこからでも目に入る大聖堂の裏は大きな丘になっており、美しい街を一望できる。大聖堂は頂上まで登ることができて観光名所となっている。
試合当日は街中の道路が来場者のために開放され、そこら中サポーターで埋め尽くされていた。大声で応援歌を合唱するもの、ストリートサッカーに興じるものもいた。
サランスクに限らず、モスクワも含めて道にはゴミは一つも落ちておらず、サポーターもどれほど騒ごうが、そのしきたりに習い、ゴミはきれいに片付けていた。
道路はすべて歩行者に開放。駅からは徒歩でモルドヴィアアリーナへ向かう。
フョードル・ウシャコフの大聖堂
サランスクの街並み。ところどころにワールドカップの標識が。
そしてついにスタジアムへ到着。スタジアム前では日本のテレビ局が取材を行っており、筆者も日本テレビとフジテレビ、そして読売新聞から取材を受けた。現地では見たところコロンビア人の割合が90%、完全アウェイである。ただ、彼らが素晴らしいのは、負けても清々しく陽気に我々と接してくれるところである。
スタジアム周辺のアトラクションも大きな魅力
とにかく明るいコロンビアサポーター
試合前も余裕からか、次々と集合写真を求められ、フレンドリーな行動に非常に驚嘆させられた。「3−0でコロンビアが勝つぞ」とコロンビアサポーターに言われ、「いや、そうは思わない」と筆者が返す。「じゃあ、予想スコアは?」「日本が3点だ!」と言うと大きな笑いが起こる。とにかく現地では日本人が少ないので、珍しさもあって声をかけたくなるようだ。
スタジアム内では試合前のひとときを最大限楽しんでもらうために様々なアトラクションがある。
ホームチームとアウェイチームでサッカーゲーム対決するコロンビアサポーター
バラエティ番組でお馴染みのロボットキーパーに挑戦
バラライカを手に脚長パフォーマンス
ファンフェスタでロシア民謡を体験
そして試合へ
さて、肝心のコロンビア戦。スタジアムではそれぞれの国での応援ソングが流れる。日本はウカスカジーがかかった。どんなに自分の国から遠く離れても、周りがコロンビア人だらけでも、ここがホームと感じられる心憎い演出だ。そして選手入場で鳴り響くホワイト・ストライプスの「Seven Nation Army」。BGMとサポーターの声が地鳴りのように響き渡る。
コロンビアサポーターと記念撮影
国歌斉唱のあと、試合開始。開始早々のコロンビア側のハンドで一人退場となって展開は大きく変わった。どちらも決定的なシーンは作れないまま後半戦に突入。セットプレーからの大迫のヘディングシュートで日本は勝ったのは、読者の皆さんもご存知の通りだ。
試合後は360度見回しても1区画しかない、日本サポーターの集団のところに日本代表の選手たちが挨拶に来たが、とても感動的なシーンだった。その後は次々に握手と写真撮影を求められるという和やかな雰囲気で会場を後にした。ユニフォーム交換して欲しいという申し出もあったし、筆者が着用していただるまの被り物も欲しいという希望者がいたので交換してきたが、とても清々しい姿であった。
日本サポーターはこの区画のみ。他は全てコロンビアサポーターで占められていた。
ダルマの被り物はコロンビアサポーターにも好評だった
もし今後、現地まで足を運ぶ人には、積極的に他国のサポーターに声かけて欲しいと思う。ロシア人の多くは英語を話せないが、若い人には話せる人も多い。スパシーバ(ありがとう)と言うだけでも彼らは笑顔を見せる。これから現地に行く人の参考になれば幸いである。
ロシア人のボランティア。美人が多く笑顔も素敵だった。