LIFE STYLE | 2018/05/31

水の都ヴェネツィア【連載】世界の都市をパチリ (8)



宮崎大輔
1988年長野県生まれ。信州大学大学院農学研究科で修士号を取得後、2013年からJICAの青年海外協...

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宮崎大輔

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1988年長野県生まれ。信州大学大学院農学研究科で修士号を取得後、2013年からJICAの青年海外協力隊に参加。中米パナマ共和国で農業指導を2年間行う。2015年からフリーランスになり日本、東南アジア、南米、アフリカの案件に農業コンサルタントとして従事。またノマド生活をしながら、世界中でスナップ写真やポートレート写真を撮影中。ブログ http://jiburi.com/ 

水に浮かぶ街ヴェネツィア

イタリアのどの街へ行こうか考えたときに、最初に行ってみたいと思ったのがヴェネツィアでした。ヴェネツィアは有名な都市ですし、水の都とよばれている理由を知りたかったからです。ヴェネツィアを訪れたあとにはローマやミラノにも行きましたが、イタリアの中ではヴェネツィアが一番気に入りました。それは他の街にはない特別な魅力があったからです。

ホテルの窓を開けるとそこには運河

もともとヴェネツィアはアドリア海の島と干潟があった場所で、地盤工事をして街が出来たそうです。そのため、いくつかの島が街の中心地になっていて、島の内部には運河が張り巡らされています。

たとえば私が泊まったホテルでは、部屋の窓を開けると目の前に運河が通っていました。窓を開けると波の音やボートが通り過ぎる音が聞こえて、ヴェネツィアにいることを実感させてくれました。

それから、ホテルから観光名所のリアルト橋まで行くためには、何本もの運河を橋を使って越えないとたどり着けませんでした。ヴェネツィアは水の都と呼ばれていますが、実際に行ってみてその理由がようやくわかりました。ヴェネツィアは周囲を海に囲まれ内部に運河が走っているので、水がなければ成り立たない街だからです。

パトカーも救急車も舟

ヴェネツィアでは、自動車や自転車の使用が禁止されています。そのため、市民の移動手段を担っているのは舟です。街のいたるところに水上タクシーや水上バスの乗り場があり、現地住民や観光客に利用されています。また、街を歩いているときに大きなサイレンが鳴ったので驚いて見てみると、パトカーと救急車が走っていました。ただし、どちらも車ではなくなんと舟。警察や救急隊の移動でさえ舟が使われていました。

狭く迷路のような路地

ヴェネツィアを気に入った理由は、運河や舟だけではありません。私の心を虜にしたのは、狭く迷路のような路地です。ヴェネツィアの街には、人がすれ違うことすら難しいようなとても狭い路地が、網の目のように張り巡らされています。

その路地は複雑に入り組んでいてまるで迷路のようなので、よそ者にはどの道を選べば良いのかわからず、すぐに迷子になってしまいます。私はGoogle MapのGPSを使って現在位置を確かめながら歩いていましたが、それでも何回も道を見失ってしまいました。

そんな狭い路地を抜けると、突然広場に出ることがあります。広場には数名でサッカーボールを蹴っている子どもがいたり、ロープが渡されそこに洗濯物が干されていました。ベンチが置いてあり、そこに座ってのんびり談笑する老人の姿もありました。路地の先にある広場は、地元住民にとって憩いの場になっているようです。

水に沈むサン・マルコ広場

鏡張りの広場(サン・マルコ広場)

ヴェネツィアで人気の観光地サン・マルコ広場に行ってみると、驚くような光景が広がっていました。なんと、広場全体が水没していたのです。広場の入り口には靴に水が入らないように高い足場が用意されていて、観光客はその上を歩いています。これは潮の満ち引きによって起こる現象で、見ることができる時期と時間が限られているそうです。

サン・マルコ広場が完全に水没した状態も珍しい眺めですが、浅く水が張った状態も綺麗でした。私は大きな水たまりを見つけて、そこで鏡張りの写真を撮っていました。地面にしゃがんで水面ぎりぎりまでカメラを下ろして撮影していたので、「いったい何を撮影しているんだ!?」と通行人から質問をされてしまいました。変な人だと思われてしまいましたが、おかげで綺麗な写真を撮ることができました。


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