政府の働き方改革により、実質上副業の解禁が奨励されたこともあり、企業にも副業・兼業を含めた多様な働き方が広がっている。とはいえ、まだまだ副業を禁止する会社が圧倒的多数なのが実際のところ。
文:庄司真美
複業は「社外での挑戦と成長の機会」と捉えるメリットとは?
そんな中、ライフネット生命保険の取り組みが話題になっている。同社は、2008年にインターネットを主な販路とする保険会社として創業し、いち早くケータイやスマホでの保険の申し込みサービスを開始するなど、戦後初の独立系生命保険会社として業界に新風を吹き込んだ。そんな同社だけに、採用や働き方に関しても柔軟性を取り入れ、2010年からは「ポテンシャル採用」として正社員を対象に複業を認めている。
今回、同社が新たに始めた取り組みが、「パラレルイノベーター採用」。対象となるのは、将来の幹部候補社員だ。これまでの「ポテンシャル採用」が正社員対象で週5日勤務なのに対し、新設する「パラレルイノベーター採用」は、週3〜4日勤務で雇用形態は相談によって決める。
同社のねらいは、複業をする社員がスキルやノウハウを本業に還元すること。複業を“社外での挑戦と成長の機会”と位置づけ、社員が社内では得難い経験を社外で得ることにより成長し、そこで得たスキルやノウハウを活かして、社内で一層の活躍を期待するものだ。
実際、複業経験者同士の情報交換などにより、各人が得た知見を本業に活かす動きも生まれ始めている。たとえば、 パラレルキャリアとして人事コンサルティング業を営む人事担当者は、クライアントが導入していて効果の髙かった健康施策のツールを自社にも導入。結果、組織の健康状態を部署ごとに数字で可視化し、人事施策のPDCAが回せる体制ができたという。
既成概念にとらわれない柔軟な働き方のあり方が、会社の成長を左右する時代になる日も、そう遠くないかもしれない。