CULTURE | 2019/05/14

道端に落ちている野鳥のヒナを、拾って助けるのはNG! その理由とは?

Photo By Shutterstock
文:岩見旦

野原や森だけでなく、ビルが立ち並ぶ都市部でも、野鳥を見か...

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文:岩見旦

野原や森だけでなく、ビルが立ち並ぶ都市部でも、野鳥を見かけることがある。そんな野鳥にとって、春先から夏は巣立ちの時期だ。道端に落ちている野鳥のヒナを見かけることもあるかもしれない。思わず手を差し伸べてたくなるだろう。

しかし、そんな時「ヒナを拾わないで!!」という訴えが今、SNS上で広まっている。なぜ拾って助けては行けないのだろうか? その理由に迫る。

1週間から1カ月の間に生きる術を習得

日本野鳥の会によると、野鳥のヒナが巣立った後、1週間から1カ月というわずかな期間に、親鳥から餌のとり方や敵からの身の守り方など、自然界で生きていく術を習得する。

ヒナが道端で一羽でいたとしても、それは飛ぶ練習をして休憩をしていることが多く、必ず親が近くにいて餌を与え続けているとのこと。

このとき、ヒナをかわいそうに感じても決して保護してはいけない。ヒナを親鳥から引き離してしまうことになり、逆に弱って死んでしまうかもしれないのだ。親鳥から生きていく術を学びそこねたヒナは、自然の中に返しても生きていけるとは限らないという。

親鳥は人がヒナの近くにいると警戒して近付くことができないため、もし落ちているヒナを見かけても、その場を去ることがベストとしている。ただし、ヒナがケガをしている場合は、各都道府県の野生動物に関する窓口になどに連絡をし、指示を受けてほしい。

また野鳥は法律で保護されており、国や都道府県などの許可がなく捕まえたり、一般家庭で飼育することは禁じられているので、注意してほしい。

20年以上にわたる啓蒙活動

日本鳥類保護連盟などは、20年以上にわたり「野鳥の子育て応援キャンペーン」を継続し、ポスターなどを通じ啓蒙活動を行っている。しかし誤って保護され、親鳥とヒナが引き離されてしまうケースが後を絶たないようだ。

また、SNSでも拡散活動が行われており、あるTwitterユーザーは「あっちこっちで巣立ちヒナが拾われています」とコメントとともに上記のポスターを紹介。10日に投稿されたこのツイートは、現在5万リツイートを突破している。

せっかくの善意が、ときにヒナにとって迷惑になるかもしれない。小さな生命が救うため、落ちているヒナを見かけてもあえて立ち去ってほしい。