LIFE STYLE | 2019/05/07

2020年の米大統領選に向けた「選挙カーでの名前連呼」より有意義なアメリカの選挙運動のスタイル【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(13)

身振り手振りをまじえ、表情豊かに生い立ちを語るコリー・ブッカー
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身振り手振りをまじえ、表情豊かに生い立ちを語るコリー・ブッカー

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渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott

エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者

兵庫県生まれ。多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に新潮社刊)を発表。他の著書に『ゆるく、自由に、そして有意義に』(朝日出版社)、 『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『どうせなら、楽しく生きよう』(飛鳥新社)など。最新刊『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)。ニューズウィーク日本版とケイクスで連載。翻訳には、糸井重里氏監修の訳書『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社)、『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)など。
連載:Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク日本版
洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者。

選挙カーを使わないアメリカの選挙では何をしているのか

日本を訪問するアメリカ人がよく驚くのが選挙の「街頭演説」と移動中の選挙カーからの名前の連呼だ。「騒音で他人に迷惑をかけるのが許されるのか?」と驚き、「政策なしに名前ばかり繰り返しているだけの選挙活動に何の意味があるのか?」と不思議がる。「私なら名前を覚えて、絶対に投票してやらないけどね」と。

日本で生まれ育った私ですら帰国が選挙期間に重なると「しまった!」と後悔する。騒音公害のおかげでイライラして早めにアメリカに戻りたくなる。Googleの検索窓に「街頭演説」と入れると、一番上に「うるさい」という選択肢が現れるところをみると、ずっと日本に住んでいる人でも同じように感じているのだろう。

日本の公選法のせいでこういう選挙運動しか許されないようだが(大ざっぱに言えば「○○候補にこの選挙で投票をお願いします!」と直接的にアピールする活動は2週間程度しかできないし、その内容も厳しく制限されている)、その理不尽さをよく知っているはずの政治家が法律を変えないのが不思議でならない。

アメリカでは、政治家が普通の有権者と直接会って政策を語り、質問を受ける建国時代からの習わしがある。地方自治体や州レベルの選挙の場合には、ボランティア市民が家を会場に使ってコーヒーとお菓子を出し、候補者が政策を語る通称「コーヒー」というイベントをよく行う。夕方のものでは「ハウスパーティー」というカジュアルな集まりもある。「ウォール街を占拠せよ」の思想的指導者として知られるマサチューセッツ州選出の連邦上院議員エリザベス・ウォーレンも、普通の市民のリビングルームを使った「コーヒー」や「ハウスパーティー」で支持者を広げていった政治家だった。

大統領選の選挙活動というと、1万人の聴衆を集めた2008年のバラク・オバマのスピーチや、トランプに扇動された聴衆が大声で「ヒラリーを牢屋に入れろ!(Lock Her Up!)」と唱和して荒れた選挙ラリーを連想するかもしれない。だが、それは本選の後半のことであり、それぞれの党の候補を決める予備選の初期に開催されるのは「コーヒー」や「ハウスパーティー」とあまり変わらない「ミート&グリート(Meet and Greet)」や「タウンホール・ミーティング(Town Hall Meeting、対話集会)」といった100〜500人程度の小規模の集会なのだ。

予備選・党員集会での注目される2つの州

これらの伝統的な選挙集会の目的は、有権者が候補をじっくり見極めることにある。

主要メディアは毎日のように選挙の報道をするが、すべての候補のスピーチを最初から最後まで流すことはない。視聴者が得る情報はメディアが選んで編集したものになってしまうので、すでに主観が混じっている。ニュース番組でも視聴率は無視できないのでスター候補を求めるし、いったんスター候補を見つけたら、他の候補についてほとんど紹介しなくなる。このような理由から、視聴者が完璧に公平であることはほぼ不可能だ。

だが、小規模の集会の場合、有権者はメディアがカットしてしまう政策案や重要な信念を最初から最後まで聴いて、自分で重要なメッセージを選ぶことができる。自分が選んだ候補を口コミで広める「伝道者」になり、間接的に主要メディアに影響を与えることもできる。このように、有権者にとって民主主義を実感できる貴重なシステムなのだ。候補者はこのハードルを超えていくことで鍛えられる。

良いシステムだが、各党の大統領選候補を決める予備選・党員集会の初期の時点で候補が訪問する地域は主に2つの州に集中している。最初の投票が行われるアイオワ州の党員集会(2020年2月3日)とそれに続くニューハンプシャー州の予備選(同2月11日)だ。特にニューハンプシャー州の予備選の結果は、実際に大統領が決まる本戦の結果すら予測することが多いので非常に重視されている。ニューハンプシャー州は市民が投票日に共和党か民主党かのどちらかを選んで自由に投票できるのだが、アイオワ州の党員集会は「コーカス」と呼ばれる特殊な党の集会での投票(党員でなければ投票できない)であり、1日仕事を休んで演説や討論に費やす覚悟がある「活動家」の意見を強く反映したものになるからだ。

大統領選は4年ごとにあるし、選挙期間は長い。だからニューハンプシャー州の住民は多くの候補が訪問するのに慣れている。「残りのアメリカ国民のために候補を選別してやるのは自分たちだ」というプライドもあるので、政治の動向や政策に詳しく、候補のスターパワーに簡単に圧倒されない。笑顔で握手をして写真も撮るが、支援するかどうかという質問には「なるべく全員に会ってから決める」と慎重だ。自分が属する、あるいは応援する党だけでなく、「いつも民主党と共和党の両方の候補の集会に行く」と答える有権者も少なくない。

20人以上がしのぎを削る民主党予備選

大統領選挙の本戦の投票日は2020年11月3日だが、予備選挙はすでにスタートしている。共和党側ではトランプが再選を狙える立場にあるので、元マサチューセッツ州知事のビル・ウェルドのほかは誰も立候補していない。だが、トランプ打倒を狙う民主党側では4月25日現在すでに21人もの候補がいる。

エマーソン大学が運営する世論調査団体「Emerson Polling」による最新の調査で、候補の支持率順に並べると次のようになる。

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バーニー・サンダース(29%):バーモント州選出の連邦上院議員

2020年の民主党予備選では、どの候補も「気候変動」「医療保険制度」「収入格差」「教育」、トランプ大統領が率先してアメリカに広まった「差別や偏見」や「対立」などを主要な問題として挙げている。いずれの候補もこれらの問題の緊急性を訴えており、その中から支持する候補を選ぶためには、解決策やアプローチの具体的な提案、それを説明するときの真摯さなどを詳しく比較するしかない。それができるのは、何千人から何万人の大観衆を鼓舞するスピーチではなく、質疑応答ができる小規模の集会なのだ。

その様子を観察するためにも、予備選の初期である2019年3月から4月にかけて9人の候補の集会に行ってきたので、集会のスタイルと、それらを利用した候補の現場の雰囲気を簡単にご紹介しよう。

最もカジュアルな「ミート&グリート(meet and greet)」

カフェやパブなどを会場に使い、候補者が短いスピーチをした後に有権者と1対1で会って握手し、軽く言葉を交わし、写真を撮るという交流会。有権者からの質問を受けない場合もあるし、質問を受けても数は少ない。最もカジュアルな形の選挙イベントであり、参加者の人数がまだ少ない初期によく行われる。

この形を利用したのは、ジョン・ヒッケンルーパー、ピート・ブーテジェッジ、ベト・オルークだった。

元コロラド州知事のヒッケンルーパーは、アメリカで盛んになっている地ビール醸造所兼パブの「ブリュワリー」ブームのきっかけを作った人物としても知られており、そのためか集会の場所に数々のブリュワリーを選んでいた。

狭いブリュワリーで、マイクなしでスピーチするジョン・ヒッケンルーパー

インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブーテジェッジのイベントは、最初はヒッケンルーパーのように会場にブリュワリーを予定していたようだが、あまりにも希望者が多くて直前に美術館に変更したという。それでも開場前に並んだ500人ほどが会場に入れなかったそうだ。この時点ではまだブーテジェッジは公式に立候補していなかったので「ミート・アンド・グリート」という形式を使ったのであろうが、公式発表が終わり、支持率が急上昇しているため、今後は大きな会場での「タウンホール」か「ラリー」に変わっていくことだろう。

大歓迎に驚いている様子のピート・ブーテジェッジ。この数日後に故郷のサウスベンド市で公式に出馬を発表した

ベト・オルークは、ブーテジェッジが登場する前にはマスメディアがスーパースター的な扱いをしていた候補である。これまでアイオワ州で集中的に選挙活動をしてきたため、まだニューハンプシャー州では馴染みが薄い。そのために報道陣も多く押しかけ、平日の朝という時間帯にもかかわらず、100人ほどが小さなカフェにギュウギュウ詰めになった。

「ミート・アンド・グリート」だが、どちらかというと、大人数のラリーに適したスピーチをするベト・オルーク

イベント後に握手をして言葉を交わし、写真撮影するミート・アンド・グリート

共に朝食を囲む「ブレックファースト(Breakfast)」

前述の「コーヒー」に近いもので、朝に行われるので「ブレックファースト」と呼ばれる。参加者は出されたコーヒーやホットケーキを食べながら候補の話を聴き、質問をする。内容的には次に紹介する「タウンホール・ミーティング」に近いが、それよりも少ない人数を対象にしており、もっとカジュアルな雰囲気。特に予備選の初期に行われる。

メリーランド州選出の元連邦下院議員のジョン・ディレイニーは、民主党の中で最初に立候補を表明した人物であり、ニューハンプシャー州ですでに60を超えるイベントを行っている。ゆえに、それぞれのイベントに来る人数は少ないが、有権者との距離感も近く、全米での知名度は低いがニューハンプシャーでは強い支持者を地道に増やしている。他の候補者のイベントで会ったほとんどの有権者が彼のことを知っており、高く評価していた。

会場になっている学校のカフェテリアでコーヒーとパンケーキを食べながら候補を待つ有権者たち

予備選のこの時期には、これほど近い位置で候補から話を聴くことができる

質疑応答が重視される「タウンホール・ミーティング(Town Hall Meeting)」

政治家が市民とじっくり対話するのが目的の政治集会。まず候補がスピーチを行い、その後に有権者からの質問を受ける。質疑応答が重視されるのが「タウンホール・ミーティング(対話集会)」の特徴だ。時間の余裕があれば終了後に希望する有権者と1対1で会って挨拶したり、写真撮影に応じたりする。

会場が狭すぎると、上記のブーテジェッジのように消防法による制限で多くの有権者を締め出すことになってしまう。だが、会場の広さに対して参加者が少なすぎると「この候補は人気がない」という印象を与える。オーガナイザーの判断が難しいのがこの部分だ。

ハワイ選出の連邦下院議員のタルシ・ガバードは、図書館を救う法案を推したこともあり、小さな町の図書館を活用。参加者は250人程度で、適度な施設だった。

タルシ・ガバードを待つ有権者たち。この後に参加者は2倍ほどに増えた

イラク戦争に従軍した実体験から無意味な戦争を避ける必然性を強調するタルシ・ガバード

私の手を両手で包み、「福島の原子力発電所の事故を知って以来、私は原子力発電に反対の立場を取るようになりました」と語るガバード

ニューヨーク州選出の連邦上院議員のカーステン・ギリブランドは、学校の講堂のステージに立つスタイルのタウンホール。160cmとアメリカ人としては背が低いギリブランドを大きく見せる効果があった。集まった者は300人程度。質問はクジ引き方式。

写真右がカーステン・ギリブランド。左は手話通訳者。ヒラリー・クリントンも手話通訳を使っていたが、現時点でタウンホール・ミーティングで手話通訳を使っていたのは現役の連邦上院議員のギリブランドとコリー・ブッカーのみ

ニュージャージー州選出の連邦上院議員のコリー・ブッカーは、身長188cmの長身であり、スタンフォード大学でアメリカンフットボールの選手だったスポーツマン。学校の体育館を使って円形のタウンホールにしたのは、全身を使ってエネルギッシュに語るブッカーの長所を活かすためだと思われる。集まった有権者はギリブランドと同じほどだったが、会場が広すぎてスカスカの印象を与えていたのが気になった。質問は手を挙げた人の中から自分で選ぶタイプ。

身振り手振りをまじえ、表情豊かに生い立ちを語るコリー・ブッカー

スピーチの後で、支持者に囲まれてセルフィーを撮るコリー・ブッカー

マサチューセッツ州選出の連邦上院議員のエリザベス・ウォーレンは、全米での知名度が高いだけでなく、ニューハンプシャー州には情熱的な支持者が多い。マサチューセッツ州は隣の州であるし、2016年の選挙ではニューハンプシャー州でヒラリー・クリントンやその他の民主党議員のために応援活動をしていたこともある。他の候補よりも数多くのイベントを行っているが、それぞれのイベントへの参加者も多い。全員に見えるようにステージを使うスタイル。質問はギリブランドのようにくじ引き方式。

大手メディアが伝える攻撃的イメージとは異なり、ユーモアたっぷりで聴衆を沸かせるエリザベス・ウォーレン

アンドリュー・ヤングは、政治家ではなく、起業家であり起業家を助ける非営利団体を設立したビジネスマンだ。18歳から64歳(社会保障で定められた通常の引退年齢65歳であるため)のアメリカ市民全員に毎月1000ドル(約11万円)を支給するユニバーサル・ベーシック・インカム(ヤングは「フリーダム配当金(Freedom Dividend)」と呼んでいる)を提唱する唯一の候補であり、唯一のアジア系(台湾系)候補でもある。大胆な政策と知的で論理的な説明がテレビ出演でも評価され、支持を伸ばしている。

「クリエイティブ・コモンズ」の共同創設者であるローレンス・レッシグ(写真右)が創設した「イコール・シティズンズ(Equal Citizens、平等な市民)」のタウンホールイベントで語るアンドリュー・ヤング

カリフォルニア州選出の連邦上院議員のカマラ・ハリスは、2月に出馬を発表した時には本命視されていた。だが、ブーテジェッジなどの新しい候補らが注目を集めるようになり、4月になってから世論調査での支持率が低迷していた。この州の政治に深い関わりがある人物が「ハリスはしばらくニューハンプシャー州に来ていないからね。この州の住民はそのあたり厳しいんだよ」と語っていた。

だが、4月23日に久々にニューハンプシャー州を訪れたハリスは、その雰囲気をがらりと変えたようだ。

冷静な判断力と実行能力を示すスピーチは堂々としているが、参加者と対応する態度はまるで昔からの友人との再会のように親身だ。ヒラリー・クリントンのオーラがありつつも、ヒラリーよりもずっと自然体であり、「本物らしさ」がにじみ出ており、独自のカリスマ性を感じさせる候補だった。この時点で私は11人の候補に会っていたが、その中で最も「明日から大統領になっても大丈夫」と思わせるパワーを感じた。「エリザベス・ウォーレンもピート・ブーテジェッジも好きだけれど、まだ誰にするか決めていない」と語っていた女性2人は、他にも多くの候補に会っていたが、ハリスのスピーチを聴いた後では「ハリスがナンバー1の選択になった」と熱く語っていた。これが、直接候補から話を聴く選挙集会のパワーだ。

力強さと柔らかさが共存するカリスマ性があるカマラ・ハリス

人柄だけでなく政策も厳しく見定める有権者たち

今回はかつてないほど多くの候補が民主党から出馬しているので難しいのだが、予備選の初期からアイオワ州やニューハンプシャー州で小さな集会に行く有権者は、「なるべくすべての候補者に会ってから支援する人を決めたい」と考えている。ゆえに、この時期から選挙イベントに行っていると、別の集会で会った人に再会することも少なくない。そのときに情報交換をするのだが、それを繰り返すと全米の世論調査に現れる前に重要な動向を感じることができる。

たとえば、現時点では世論調査のトップに位置するバイデンとサンダースだが、ニューハンプシャー州では「予備選で彼らのどちらかに決まったらもちろん投票する」と前置きしたうえで「でも、今回はもっと若くて良い選択肢がある。まだ決められない」という意見が多い。「あの年寄りの白人男性2人だけにはなってほしくない」という人もかなり存在する。前回の予備選でサンダースに投票した若者が、アンドリュー・ヤングやタルシ・ガバードに興味を移している。また、高齢者が高齢の候補を推すわけではなく、60歳以上の高齢層に「若い候補がいい」と強調する人が多い。そういったことは、現場にいないとなかなか見えてこない動向だ。

有権者の方も、私がカマラ・ハリスの集会で感じたように、テレビなどのメディアで得た情報だけの時と実際に会って話を聴いた後では意見が変わることが多い。「想像より良かった。非常に印象深かった」と情熱的に語る有権者が多かったのが、ピート・ブーテジェッジとアンドリュー・ヤングのイベントだった。ジョン・ディレイニー、コリー・ブッカー、カーステン・ギリブランド、タルシ・ガバードといった目立たない候補らも直接有権者に語りかけることで強い印象を与えていた。

「ジョー(バイデン)は好きよ〜。でも、大統領になってほしいのは若くて知的なブーテジェッジ」と話す60歳前後と思われる姉妹

前向きな性格とカリスマ性で『ヴァニティ・フェア」誌の表紙になるほど人気があるベト・オルークは、子どもを見かけるとすぐにしゃがみこんで話しかけ、質疑応答の途中にのぼせた女性が倒れて外に運びだされたときには応答を中断して外に出て女性に語りかけるなど、イメージどおりに好感が抱ける人物だった。だが、この集会をきっかけに「支持を決めた」という参加者には不思議と会わなかった。「いい人だ」ということでは全員の意見が一致していたし、会えて嬉しそうだったが、「良い人であるだけでは足りない」、「もっと具体的な政策が必要」、「他の候補と比べてからでないと支持を決められない」という意見がかなりあった。それらは、ブーテジェッジ、ヤング、ハリスのイベント後に話を聴いた有権者と比較すると生ぬるい反応だった。

こういったニューハンプシャー州の有権者の反応を反映しているのが、ブーテジェッジが3位に上昇し、ヤングが支持率を3%まで急成長させた前述の「エマーソン」の世論調査である。

3つのイベントで顔をあわせたニューハンプシャー州の政治に詳しい男性は「選挙は長い。これから何があるかわからない」と語っていた。それを見極めるために毎週自分の時間を削って集会に参加して質問をし続ける一般市民が多いところが、「民主主義」を信じるアメリカ人らしさである。

日本でも、もっと市民が政策について学び、政治家と対話することが当たり前な社会にした方が誰にとっても得ではないだろうか?

少なくとも、騒音公害だけは避けることができるだろう。