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出演俳優の逮捕で、過去作すべてお蔵入りにするのは不毛。ピエール瀧逮捕を受けて、識者が疑問を呈す
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  • 2019.03.14
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出演俳優の逮捕で、過去作すべてお蔵入りにするのは不毛。ピエール瀧逮捕を受けて、識者が疑問を呈す

文:岩見旦

コカインを使用したとして、ミュージシャンのピエール瀧容疑者が12日夜、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された。この事件を受けて、所属レーベルは、電気グルーヴ及びピエール瀧に関連するCDの出荷停止と在庫の回収などを決定した。

俳優として多岐にわたる活躍

瀧容疑者はミュージシャンとしての活動に加え、俳優として数多くの映画やドラマに出演していた。

現在放送中のNHK大河ドラマ『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』は、瀧容疑者の出演シーンの対応を検討中。ディズニー映画『アナと雪の女王』のオラフ役の声優からはすでに瀧容疑者の降板が発表されている。

過去には『シン・ゴジラ』や『アウトレイジ 最終章』『あまちゃん』などで名脇役として活躍し、今後公開を予定している作品も多かった瀧容疑者。今回の逮捕の影響で現在出演中の作品からの降板だけでなく、過去出演作品のDVD出荷停止やデジタル配信の停止など、「お蔵入り」する可能性が浮上している。

逮捕者の過去作のお蔵入りに批判が集中

このような出演者の逮捕で過去作をすべて封印するという、テレビ局や映画会社の対応に対し批判が相次いでいる。

劇作家で演出家の鴻上尚史さんは、自身のTwitterに「出演者の不祥事によって、過去作品が封印されるなんて風習は誰の得にもならないし、法律的にもなんの問題もないし、ただの思考停止でしかない」と投稿し、「ここで制作者は踏ん張って、作品と1人の俳優はイコールではないと持ちこたえないと、この国の文化は悲惨なことになってしまう」とテレビ局や映画会社を牽制した。

また、ジャーナリストの江川紹子さんも「またも過去の作品お蔵入り、収録済み映像も編集し直し消去、みたいなことをやるのか…」とツイート。「薬物自己使用とか被害者がいない事件で、そういう非生産的なことは、もうやめた方がいい」と持論を述べた。

ラッパーのダースレイダーさんは「ピエール瀧出演作封印は多すぎて無理でしょ。アナ雪子供にもう見せないとかも逆効果」とツイートし、「いよいよ作品と犯罪を犯した人の分離が成される時が来たのか、と言うのがピエール瀧の功績として後世に?」と独自の見解を示した。

この他ネット上には、「日本映画の名作が見られなくなる」「罪を犯した人の過去の作品までお蔵入りさせる必要ある?」「この風潮はいい加減に辞めよう」といった意見が殺到している。

過度な自粛は悪い慣習

同様の議論は、今年2月に新井浩文被告が強制性交の疑いで逮捕された際にも起こった。

新井被告の逮捕の際には、出演映画『台風家族』は公開延期、『善悪の屑』は公開中止となり、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』のDVD発売は延期された。また、NHKやフジテレビなどのテレビ局は新井被告の出演ドラマを配信停止にした。しかし、当時もこの対応は行き過ぎではないかという声が挙がっていた。

言うまでもなく、作品に罪はない。過度な自粛は悪い慣習だ。今回のピエール瀧容疑者の事件のような特定の被害者がいないケースであれば、お蔵入りの必要はないようにも感じる。


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