取材・文:神保勇揮
シャープの「ロボホン」が自己紹介と相槌をしてくれる!
サイバーエージェントおよび、東京・竹芝を拠点に「デジタル×コンテンツ」の産業を強化するまちづくりを進める一般社団法人CiP協議会は、2月9日に東京・竹橋のインターコンチネンタル 東京ベイにて「ロボットが会話を代行する婚活パーティーin 竹橋」を開催。12日にメディア向け報告会を開催した。
同イベントは、婚活パーティーとサイバーエージェント内のR&D部門「AI Lab」による実証実験を兼ねたもの。一般公募した男女のプロフィールや趣味嗜好を事前に調査し、そのデータに基づいてシャープ製のモバイル型ロボット電話「ロボホン」が自己紹介の会話を代行してくれるという一風変わった内容だ。
お互いの会話内容はリアルタイム生成ではなく事前にプログラムされたものだが、男女のマッチングにロボットが介在することでどのような心理の変化が起こるかを問うものとなった。
メディア向け報告会でのデモンストレーションの様子
イベントは二部構成となっており、第一部が「ロボットが会話を代行して参加者が会話をしない」という内容、第二部が「ロボットが会話を代行した後に参加者同士で会話する」という内容に分かれていた。
ロボットを介したコミュニケーションは、人に良い影響を与える?
イベント当日の様子
マッチングについては通常の婚活イベントと同様、男女の会話後に「今後も連絡を取ったり会ったりしたい異性」を選択、お互いに名前を挙げた者同士がカップル成立となる仕組み。
第一部の「参加者同士が会話をしないプログラム(ロボットの会話のみ)」では男性8名、女性8名の計16名が参加、2組のカップルが成立し、第二部の「ロボットの会話代行後に参加者同士が会話をするプログラム」では男性5名、女性7名の計12名が参加(男性3名、女性1名が欠席)、こちらも2組のカップルが成立した。
参加者の満足度は非常に高く、第一部・第二部ともに10点満点中で7.5以上の評価を獲得。参加者からの感想では「8人と会話するのはとても疲れるので楽でした」「ロボットが一生懸命に自分の紹介をする姿に感動しました」などの声が挙がったという。
イベント参加者の感想インタビュー動画(サイバーエージェント提供)
実証実験に携わったサイバーエージェント アドテク本部 AI Lab 研究員の岩本拓也氏は「当社は大阪大学大学院の石黒研究室と共同で、これまでロボットやチャットボットによる接客対話の自動化の研究開発を進めてきました。今回のイベントも、あくまで『どのようにすれば人間がロボットを含む対話エージェントへの信頼を獲得できるか』を問うものであり、サイバーエージェントとしてロボット婚活を事業化する予定は現時点ではありません」と説明。
サイバーエージェント アドテク本部 AI Lab 研究員の岩本拓也氏
また参加者の事後インタビューで「相手のプロフィールに対し、自分のロボットが思った通りの相槌をしてくれた時に、分身のように思え、信頼が大きくなった」「普段は好みのタイプでない相手の方だったが、ロボットの対話から共通点を知ることができたのでフリートークが盛り上がった。そこからお相手に興味が出た」という声が挙がっていたことを踏まえて、ロボットによる会話が人間に対して一定の良い影響を与えていたことが確認できたとしている。
同社は今後も訪日観光客の増加や少子高齢化による人材不足の課題、テクノロジーの発展による店舗のデジタル化や無人店舗の進出などに伴うロボット活用などへの期待から「人とロボットが共生できる世界」を目指し、ロボットやチャットボットにおける接客対話技術の研究開発を進めていくとしている。